普及版 字通 「誦(漢字)」の読み・字形・画数・意味
誦
14画
[字訓] となえる・うた
[説文解字]
[字形] 形声
声符は甬(よう)。〔説文〕に収める甬声十一字のうち、誦(しよう)声はこの一字のみであるが、喩(ゆ)母(j)、(邪)(じや)母(z)の間には、通用の例が多い。〔説文〕三上に「諷(ふう)するなり」とあり、〔周礼、春官、大司楽〕の「興諷誦言語」とは、韻律をもつ語をいう。その〔注〕に「倍(はいぶん)(暗誦)を諷と曰ひ、聲を以て之れをするを誦と曰ふ」とみえる。古くは呪誦をいい、〔詩、小雅、節南山〕「家(かほ)(人の名)誦を作り 以て王の(きよう)を究(せ)む」の誦は呪誦の意。また〔詩、大雅、烝民〕「吉甫(きつほ)(人の名)誦を作る 穆(ぼく)として風の如し」は祝頌の誦である。〔詩、大雅、桑柔〕「誦言ふが如し」のように、誦辞はその呪能を鼓舞するために、陶酔的な状態で歌われ、またその辞は修辞を極めたものであった。〔楚辞〕の祭祀的歌謡の末に、誦とよばれる一段をそえたものが多い。〔左伝〕に多くみえる「輿人(よじん)の誦」は、また輿論(世論)ともいわれるもので、古い呪誦の遺響を存するものである。
[訓義]
1. となえる、となえうた、わざうた。
2. よみうた、うたう。
3. そしる、うらむ。
4. 頌と通じ、ほめうた。
5. 訟と通じ、うったえる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕誦 ヨム・ウタフ・カゾフ・トガム
[語系]
誦ziongは踊・(勇)・涌jiongと声近く、内面から外にあらわれる意がある。また讀(読)dokとも音が通じて、誦読の意がある。
[熟語]
誦詠▶・誦憶▶・誦諫▶・誦記▶・誦功▶・誦詩▶・誦志▶・誦呪▶・誦習▶・誦述▶・誦数▶・誦説▶・誦読▶・誦法▶・誦味▶
[下接語]
愛誦・暗誦・誦・謳誦・歌誦・記誦・吟誦・絃誦・口誦・工誦・講誦・坐誦・志誦・習誦・称誦・唱誦・推誦・成誦・精誦・伝誦・読誦・念誦・拝誦・背誦・賦誦・諷誦・伏誦・復誦・覆誦・黙誦・夜誦・朗誦
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報