大学事典 「課程博士」の解説
課程博士
かていはくし
大学院の博士課程に入学し,コースワークや論文作成,試験を経て授与される学位。博士は1887年(明治20)の学位令で最初に規定され,1920年(大正9)の学位令改正でいわゆる課程博士と論文博士の2種類となり,その後帝国大学以外の官公立大学や私立大学でも授与されるようになり増加していったが,論文博士が主流であり(1910年ころまでは,総長や博士会による推薦博士と論文博士とが拮抗),課程博士取得者は20年度までに28人でその間に生まれた博士全体のわずか4.0%に過ぎず,21~45年度の間では2837人で13.1%しかいなかった。第2次世界大戦後になって,課程博士は1953年(昭和28)の学位規則(文部省令)で博士「甲」(日本)(論文博士は博士「乙」(日本))と規定され,アメリカ的なスクーリングを経た課程博士への改革が求められたが,論文博士の優位な時期が続き,91(平成3)年度に至っても,その年度の課程博士は同年度に生まれた博士全体の43.9%にとどまった。だが,同年の学位規則改正後,課程博士の割合は2002年度に69.6%に増え,2010年度には83.5%を占めるに至り,現在では新たに生まれる博士は課程博士が主流になっている。
著者: 阿曽沼明裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報