スクーリング(読み)すくーりんぐ(英語表記)schooling

翻訳|schooling

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スクーリング」の意味・わかりやすい解説

スクーリング
すくーりんぐ
schooling

スクーリングとは、大学や高等学校通信教育受講生に課される面接授業(教室教授、実地訓練)のことである。通信教育受講生の学習は、通信教材による自己学習と通信による添削指導が主であるから、教師学生との接触がなく、対面的な教育活動を通したコミュニケーションや手厚い指導・助言がなされにくい面がある。そうした側面を補うものとして、スクーリングが実施される。

[広瀬義徳]

大学通信教育

大学における通信教育は、1981年(昭和56)に定められた大学通信教育設置基準により、卒業に必要な修得単位数124単位のうち、30単位以上はスクーリングによって修得しなければならず、そのうちの10単位までは放送授業によって修得した単位と代替できるものと定められている。ただし、通信教育を実施している大学の多くは、放送授業との併用を認めず、可能な限りスクーリングによる単位修得を勧めており、通年1学年分以上に相当する面接授業を受講しなければ学士号は授与されない。具体的なスクーリングは、おもに講義、個人指導、実習、グループ研究等の方法で実施されるが、通信教育で一般の講義に相当するのが、テキストの学習とレポートの添削である。2000年度(平成12)の面接授業出席者は、私立大学で約10万人、放送大学で約1万8000人、短期大学で約2万4000人となっている。

 短期大学でのスクーリングについては、別途、短期大学通信教育設置基準に定めがあり、卒業に必要な単位数は、修業年限2年の場合15単位以上で、3年の場合23単位以上となっている。それぞれ5単位と8単位までは、大学通信教育と同様、放送授業による代替が可能とされている。

[広瀬義徳]

高等学校通信教育

通信制高等学校を中心とする高等学校段階でのスクーリングも、通信制高等学校の教育方法の一環として実施されている。通信制の発足当初は、自学自習、レポート作成と添削指導、試験の三つで、スクーリングはなかったが、教師と受講者との接触・交流は、とくに若年層の場合には重要なため、導入されるようになった。ただし、受講者によってはスクーリングの負担もあるため、職業における実習等を関連教科・科目の実習とみなし、スクーリングの時間数を減らす措置も講じられている。しかし、通常は、学習指導要領に定める標準時間数を上回ってスクーリングが行われている実態にある。なお、かつては勤労青少年をおもな対象としていた通信制高等学校だが、1990年代以降、正規の学校への通学生活になじめないことや成績不振など、多様な事情や背景を抱えた学生の受け皿としての役割をも果たし始めている。

[広瀬義徳]

『山内太郎編『学校制度 戦後日本の教育改革5』(1973・東京大学出版会)』『鈴木勲編著『逐条学校教育法』(1980・学陽書房)』『奥井晶著『教育の機会均等から生涯学習へ――大学通信教育の軌跡と模索』(1991・慶応通信)』『西山健児著『通信制高校に学ぶ青春 もう一つの学校』(1998・かもがわ出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スクーリング」の意味・わかりやすい解説

スクーリング
schooling

通信教育において,受講者が教師や学友と直接接触して学習する機会をもつため,短期間集中的に学校教育と同様の面接指導を受けること。「大学通信教育基準」では,卒業所要単位中 30単位の面接指導が必要と定めており,これは普通夏季6週間ずつ3ヵ年で取得することになっているが,受講者にはかなりの障害となっている。高等学校については,「高等学校通信教育規定」で定められている。このほか,学校教育の経験,その経験年数,在学年数を示すこともある。

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