谷中坂町(読み)やなかさかまち

日本歴史地名大系 「谷中坂町」の解説

谷中坂町
やなかさかまち

[現在地名]台東区谷中やなか一丁目・同四丁目

明治二年(一八六九)谷中やなか善光寺ぜんこうじまえ町・谷中やなか玉林寺ぎよくりんじ門前町が合併して起立。また周辺の寺地を合併した。正保江戸絵図では当地一帯に善光寺・玉林寺や百姓地がみえる。天台宗善光寺は長野善光寺の兼帯所で、宝永二年(一七〇五)青山百人あおやまひやくにん(現港区)に移転した(寺社備考)。「江戸名所記」には尼寺で門の両側に桜並木があったと記されている。曹洞宗玉林寺の建立は天正一九年(一五九一)といい、朱印寺領高二一石余。境内朱印拝領地一万一千一〇〇坪には一二ヵ寺が借地していた(寺社備考)。境内にあるシイは都指定天然記念物。日蓮宗本寿ほんじゆう寺は慶安三年(一六五〇)に神田寺町(現千代田区)より転入し、玉林寺境内を借地。臨済宗妙心寺派瑞松ずいしよう院は寛文四年(一六六四)玉林寺境内を借地して建立。それ以前は湯島大根畑ゆしまだいこばたけ(現文京区)内にあったと伝える。臨済宗大徳寺派臨江りんこう寺は寛永七年(一六三〇)下谷池之端したやいけのはたにあり臨江庵と称していたが、この寺地は東照宮の風上にあたるため延宝九年(一六八一)火除地となり谷中へ移転した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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