貝殻節(読み)カイガラブシ

精選版 日本国語大辞典 「貝殻節」の意味・読み・例文・類語

かいがら‐ぶしかひがら‥【貝殻節】

  1. 鳥取県の民謡。鳥取市賀露港一帯の沖合いで、帆立貝漁のときに歌われた労作歌。昭和初期、近くの浜村温泉の宣伝歌として広まった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貝殻節」の意味・わかりやすい解説

貝殻節
かいがらぶし

鳥取県の民謡。県中北部鳥取市気高(けたか)町の沖合いでは、かつて10年または20年、30年に一度、大量のホタテガイが発生する年があり、地元ではこれを「カイガラ年」とよんできた。そのホタテガイ大発生の年には沿岸の漁師たちが、ジョレンとよばれる馬鍬(まぐわ)のような漁具海底に沈め、数人が櫓(ろ)をこぐ底引漁でジョレンを引き上げ、中の貝をとっていた。その際、船をこぐ漁師たちの歌った労作唄(うた)が『貝殻節』である。その作業は重労働だったので、歌詞にも「何の因果で……」のつぶやきが盛り込まれたという。この民謡はのちに近くの浜村温泉で歌謡曲調としても歌われるようになった。

斎藤 明]

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世界大百科事典(旧版)内の貝殻節の言及

【気高[町]】より

…主産業は砂丘地での二十世紀梨,ブドウなどの果樹やタバコ,ラッキョウの栽培のほか,酒津,船津の2漁港を利用した沖合漁業である。民謡《貝殻節》は,かつて沖合でイタヤガイ漁が盛んであった際に歌われた労働歌で,今も広く愛誦されている。【豊島 吉則】。…

※「貝殻節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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