漁獲,すなわち水産動植物を採捕するのに用いられる道具。漁獲の方法を漁法というが,漁法は漁具の運用方法ということもできる。水産動植物の採捕は対象生物の生態・習性・行動などに応じて,最も適当な方法をとるわけで,漁具と漁法は密接に関連して選ばれる。
漁獲は水中に生活する動植物を陸上生物である人間が採捕するのであるから,水から魚介類を分けることが最終的には必ず行われる。したがって,生物体を直接,なんらかの方法(引っ掛ける,突く,挟むなど)で保持して水から揚げるか,水と生物をこし分けるかのどちらかが必要になる。後者としては網が使われることが最も多く,前者にはいろいろのものがあるが,釣針が代表的なものである。そこで,漁具を分類するのに,(1)網漁具,(2)釣漁具,(3)雑漁具とすることが多い。なお,最終的に水からとり揚げる前に,漁獲を効率よく行うために,対象魚介類をある密度以上になるように集める(駆集,誘集)のが普通で,このための操作がとり揚げる操作と分かち難く結びついている。こういうことを考えれば,定置網類とえり(魞)類とは材料は違うが,漁法的には同じであるし,壺,筒などとも原理は共通なので,陥穽(かんせい)具として一括することもある。ここでは普通の分類に従い,定置網は網漁具に含め,雑漁具を広義の刺突(しとつ)具と陥穽具とに分けることとする。また,こういった水産動植物をとる漁具をとくに主漁具といい,集魚あるいは主漁具の扱いを容易にする器具・機械を副漁具という。副漁具には集魚灯,魚群探知機,揚縄・揚網機などが含まれる。
網の基本的な機能は水は通して生物は通さない点にあるが,この機能をどのように使うかで,網漁具はいくつかに分類される。まず,網を動かすか,動かさないかで大別される。網を動かす場合,その運動方向で三つに分けられる。すなわち,(1)水平方向に動かす引網類,(2)鉛直方向に動かす敷網類(下から上に働かせる)と,かぶせ網類(上から下に働かせる),(3)魚群を巻く巻網類である。網を動かさないものとしては,(4)網目に刺さる,あるいは絡むのを待つ刺網類と,(5)魚群を誘導して囲い網の中に落としこむ定置網類とがある。これらは原理的な分け方であって,実際の漁具には,これらの分類にまたがるものももちろんある。例えば,地引網は魚群を巻いて網を引き陸に揚げるもので,(1)と(3)にまたがる。“引く”と“巻く”のどちらを重視するかによって引網類に入れられたり,巻網類に入れられたりする。たたき網や狩り刺網などは“巻く”と“刺す”の両作用が働く。いくつかの作用が複合的に働くのは,ほとんどの漁具で見られるがおもな機能から分類されるのである。
まず引網類だが,最後に魚が入る囊(ふくろ)網を中心に,両側に袖網と引綱がつくのが一般的な構成である。固定点から,引綱-袖網-囊網-袖網-引綱の順に水中にぐるっと張り回し,元の所にもどって網を引き寄せる引寄せ網と,網を船の後方あるいは側方に下ろし,曳行する引回し網(あるいは曳行網)とがある。前者には陸上から引く地引網,船を錨(いかり)で止めて船が引く船引網などがあり,後者には各種底引網などが入る。地引網はイワシ,アジ,サバ,タイなどの魚群が岸近くに寄ったところを巻くもので,場所によって大きさは異なるが,片側の長さが袖網150~200m,引綱3000mに達するものもある。囊網は長さが口径の5~6倍ないと,中に入った魚が逃げやすい。シラスやイカナゴなどをとる船引網やこれに似たパッチ網は地引網を小型にして,船を基点として網を張り,引き寄せるものだが,網を張ってからかなり引き回すことも行われる。引回し網は底引網(底引網漁業)が主だが,表層を引く浮引網,中層を引く中層引網もある。これらはいずれもなんらかのくふうで網を引くときに網口を開くようにしている。オッタートロール,機船底引網,打瀬(うたせ)網,桁網などがある。カレイ・ヒラメ類などの底魚や貝類,また底層・中層を群泳するアジ,タイ,イカ類,エビ類などがおもな漁獲対象である。
敷網類(敷網漁業)はあらかじめふろしきのような網を水中に沈めておき,餌・集魚灯などで網の上に魚群を誘導し,これをすくいとるもので,小さな四つ手網から各種棒受網,四艘(しそう)張網,八手(はちだ)網など大きいものまである。大きな敷網類はいずれもイワシ,アジ,サバなど群れをなして行動する魚種を対象とするが,現在,この漁具を使う漁業で最も重要なのはサンマ棒受網(棒受網漁業)である。
かぶせ網類は敷網類と反対に,上方から網を魚に覆いかぶせるもので投網などがこれにあたる。河川・湖沼で使われることが多いが,海の岸近くでボラ,クロダイなどをとるのに使われることもある。卸網(おろしあみ)は大型の投網で,網裾の長さが90尋(ひろ),手縄の長さが50尋もあり,河川の深いふちを漁場とする。5艘の船で網裾を分けもち,一斉に投網する。ちょうちん(提灯)網は木や竹で作った円錐状の枠に網地を張ったもので,浅い川底のナマズ,アユなどにかぶせてとる。
巻網類はイワシ,アジ,サバ,ブリ,カツオ,マグロ類など活発に遊泳する魚群をすばやく巻いて漁獲する機動性が重要な漁具である。タイなどをとる縛網(しばりあみ)は囊網をもつ有囊巻網類で,桂縄(かつらなわ),鵜縄(うなわ)などで追った魚群を巻いた後,網の両端を交差させ縛るようにして漁獲するのでこの名がある。巻網としては,囊網をもたない無囊巻網の方が一般で,揚繰(あぐり)網,きんちゃく網,アメリカ式きんちゃく網などがある。1枚の横長の長方形の網で,中央部に囊網の代りにやや細かい網目の魚捕部がある。上部にあば(浮子)綱,下部にいわ(沈子)綱がつき,いわ綱には鉄製の環(わ)が多数,吊綱(つりづな)によって取り付けられている。魚群を巻き終わると,網裾から魚が逃げないように環に通した綱(環綱)をきんちゃくの口を締めるようにまず締めてしまう。きんちゃく網はあば綱の長さが200m以下の小さいものもあるが,大きいものでは1500~1600mにも及ぶ。一艘巻きと二艘巻きとがある。巻網漁業は底引網漁業と並んで,日本の重要な漁業である。
刺網(刺網漁業)は鳥をとらえる霞(かすみ)網と同じように,見えにくい網を魚道に張っておいて網目に魚を刺させ,絡ませるもので,表層性のトビウオ,サンマ,イワシ,ニシンなどを対象とする浮刺網と,カレイ・ヒラメ類などの底魚を対象とする底刺網とがある。いずれも,いわ,錨などで固定するが,固定せずに,潮流に任せて流しておくものを流し網という。サケ・マス流し網が代表的なものである。このほか外洋域で15~18cmという大きな目合いの網でカジキ類などをとる大目流し網もある。底刺網の一種の三枚網は小さい目合いの網の両側に大きい目合いの網を張ったもので,大きい魚も小さい魚もとれる効率のよい網である。効率がよすぎて資源保護上の問題から禁止している地区も多い。
定置網(定置網漁業)は建網類とも呼ばれ,形・規模はさまざまであるが,一般に陸から沖に向けて魚道を遮るように垣網を張り,その先に囲い網をつける。魚群は垣網にそって泳ぐうちに囲い網の中に誘導される。囲い網にはいったん入った魚が出にくいようないろいろのくふうがなされている。囲い網の一部に魚捕部をつける場合,別に袋状の魚捕網をつける場合など,取り上げ方もいろいろである。台網,大謀網,落し網,ひさご網,角網,枡網などがある。サケ・マス,ブリ,イワシ,タラなど特定の魚種をおもな対象とするものもあるが,とくに魚種を選ばず,沿岸に来遊するものすべてをとる場合も多い。建干網は干潮時には干出する浅海に満潮時に網をはり,干潮時に沖へ出ようとする魚類をとるものである。小型の定置網としては張網類がある。河川・湖沼・浅海で使われるが,長い袋状の網で,内部に何段も返しをつけて入ったら出にくくした網を流れを受けるように張って杭などで固定し,流れにのって動く魚介類を漁獲するものである。
網漁具は漁網のほか,各種ロープ類,あば,いわで構成される。漁網,ロープ類の材料としては,以前は各種天然繊維,漁網の場合はとくに綿糸が重要な役割を果たしたが,現在はほとんどすべて合成繊維に変わってしまった。
→網漁業
釣針,糸,さお,餌,いわ,あばを釣りの六物(ろくぶつ)というが,釣漁業で用いる漁具にはこれらの要素のいくつかを欠くことが珍しくない。釣漁業は一本釣りとはえなわ(延縄)に大きく分けられるが,漁具もこれに応じて分けられる。一本釣具はさらにさお釣具,手釣具,機械釣具,引縄釣具に分けられる。はえなわ釣具は,浮はえなわ具,底はえなわ具,立縄具に分けられる。こういった分類に加えて,餌をつけるかつけないか,また擬餌を使うかどうかでも分けられる。最近は自動イカ釣機やカツオ釣機も出現しているが,漁法の中で個人的な技能の熟練を最も必要とするのが釣りで,そのため対象により,漁場により,季節により,生物の生態に合わせてきめ細かいくふうが施される。釣漁具ほど地方により,人によりさまざまの特徴ある道具が見られるものはない。
釣針は先史時代には動物の角や骨,あるいは木の枝などで作られたが,現在はすべて金属製である。釣糸も網糸,ロープ類と同様,天然繊維から合成繊維に変わった。
→釣漁業
(1)刺突漁具(広義)類 もり(銛),やす(簎)など狭義の刺突具のほか,引っ掛けたり,挟んだりする漁具も含んでいる。これらには,ウナギかぎ,タコかぎなどのかぎ具,サザエばさみ,カキばさみ,コンブねじりなどのはさみ具,磯がね,アワビおこしなどのかき具がある。いずれも,沿岸の磯などで定着性あるいは運動性の低い魚介藻類を採捕するための道具である。なお,刺突具にはカジキの突ん棒,捕鯨船の捕鯨もりなど強力な漁具も含まれる。
(2)陥穽具類 定置網に匹敵するような大規模なものもあるえり類から,アカニシなどの殻を利用するイイダコ壺まで大小・形状さまざまであるが,なんらかの方法で対象種を誘集し,出にくい構造の漁具内に入らせる原理は共通である。餌を使うものが多いが,移動経路を知って仕掛けたり,産卵床(イカ籠),生息場所(蛸壺)を提供したりするものもある。せん,筌(うけ),どう,もんどりなどはおもに河川・湖沼で用いられる。アナゴ筒,蛸壺,イカ籠,エビ・カニ籠などは簡単な構造であるが実用性の高い漁具である。河川に組まれるやな(簗)も陥穽具の一種だが,上流から下ってくる魚をとる〈下りやな〉と遡上してくるものをとる〈上りやな〉とがある。
魚群の探索に用いるもの,魚群の駆集・誘集に用いるもの,主漁具の運用に用いるもの(漁労機械と呼ばれることが多い)がある。
魚群の探索に用いるものの代表は魚群探知機である。最近の進歩は目覚ましく,浮魚用,底魚用,魚群用,大型魚単体用など各種の目的に応じたものができている。捕鯨母船に積まれる探鯨機も大きな副漁具といえよう。魚群探知機は巻網,棒受網,底引網などに欠かせないが,定置網でも魚群の入網状況を知り,この情報を陸上に送信するテレサウンダーと組み合わせて効率を高めている。魚群ではなく,漁具の水中での働き方を知ることも操業の効率化に重要で,底引網にとりつけるものとしてはネットレコーダー,巻網の網裾にとりつけるネットゾンデなどがある。ネットゾンデは落ちてゆく網の深さを水圧で測定し,超音波信号として発信する。船上では魚群と網の相対的位置を確認しながら,投網速度や環綱の巻きこみ速度などを調整できる。
魚群を誘集するためのものとしては集魚灯が代表的なものである。走光性を利用して灯火で集魚するものだが,すべての魚種が正の走光性を示すわけではなく,また,正の走光性を示すもののすべてが集魚灯漁業の対象となるわけでもない。サンマ,サバ,イワシ類,イカ類など10種ほどが集魚灯漁業の対象となっている。駆集用として古くから使われているものには桂縄や鵜縄などがある。
一般には漁労機械といわれ,網漁具や釣漁具を操作するのに用いられる機械類は重要な副漁具である。各種の機械類が発達した結果省力化が達成されたが,一方,これらの駆動用のエネルギーが必要で,機関の大型化,燃料多消費ももたらした。おもなものはロープ類を扱うものと,網類を扱うものである。それぞれ多くの種類がある。マグロはえなわ船のように長いロープを扱うものでは,投縄機(幹縄を航走しながら投縄),ラインホーラー(揚縄機),オートリール,ラインワインダー(いずれも揚縄時の幹縄の処理・格納)などが活躍する。そのほか各種ロープを巻き揚げ,巻きとるウィンチ,ロープリールは底引船,巻網船などに装備される。環綱ウィンチはきんちゃく網の網裾を締める環綱を巻き揚げるための巻網漁船の主要装備であり,トロールウィンチはトロール網の投網,揚網を行うためのものでオッタートロール漁船の最も重要な装備である。
網を扱うものとしては,巻網漁船に装備され,揚網に使われるネットホーラー,これと組み合わせて使う網さばき機,同じく巻網漁船に装備される揚網機の一つであるパワーブロックなどがおもなものである。このほか,2個の円筒型のゴム製の筒を接触させ,この間に網やロープを挟んで内側に回転して揚網,揚索するブイローラーは巻網漁船,小型刺網漁船,小型底引網漁船,定置網作業船などに装備される。また巻網漁船やサンマ棒受網漁船などの玄側に装備される揚網機の一種にサイドローラーがある。なお,自動イカ釣機,カツオ釣機なども漁労機械であるが,副漁具というよりは主漁具というべきであろう。
これらの漁具はすべてが人類の歴史の最初からあったわけではない。ジブラルタルの洞窟内のネアンデルタール人の遺跡に貝殻が見つかり,多くの貝塚から多種の貝殻・魚骨などが出土していることからわかるように,旧石器時代から人類は魚介類を食料としていた。この時代は貝が圧倒的に多いことから見て,岸近くの浅い所で手で採集するのが原初的形態であっただろう。しかし,貝塚から釣針,もり,やす,矢じりなどが発見されているから,簡単な漁具は使われていたと考えられる。網漁具は繊維が保存されないため,漁網を証明する直接の証拠はないが,土器の文様から網が存在したことは確実であり,あば,いわとして使用されたと思われるものが貝塚から出土しているので,やはり古くから用いられていたであろう。最も古い形態の網漁具はあば,いわを欠き,もっぱら人力で網を水中で保持し操作するもので,すくい網,徒歩敷(かちしき)網,徒歩引(かちひき)網などが考えられている。いずれも1人あるいは2人ぐらいで,魚をすくい,あるいは小規模に引き回すものであった。
こうした単純・小規模の原初形態の漁具は,時代が下るにつれて,一般に大規模なもの,複雑なものへと変化してきた。もっとも,釣針などは昔のものの方が形が複雑で多様であり,近年の大量生産の時代になって,むしろ単純で変化に乏しくなっている。これは,個人的技能が重要な漁具と,組織の力が効率を決める漁具との違いともいえるが,いずれにしても,社会における人口の増加,産業・経済の発展に応じて,自給自足の漁業から商品生産の漁業へと変化し,これに応じて,漁具も効率を重視して変化してきたのである。こういった社会の発展の事情は,国によって地域によってひじょうに異なるので,漁具の発展の歴史も国によって違っている。例えば,オセアニアの諸国などは現在でも比較的原初形態に近い小規模な漁具,独特の伝統的な漁法が生きているのに対し,日本の遠洋漁船などは,航海計器・副漁具まで含めて,発達の頂点に達している。ここでは,日本での事情を中心として,漁具の発展の歴史を簡単に見ておくこととしたい。なお,発展を考えるうえで二つの軸がある。一つは材料であり,一つは規模・複雑性である。両者はそれぞれ,産業・経済の発展と密接に関連しており,相互にも関係があるが,一応この二つの面に分けて考察することが可能であろう。この2軸に平行して,さらに造船・航海の技術が関係するが,ここではこの面までは触れない。
まず,材料の面から見れば,釣針あるいは刺突具の先などは石器時代には樹枝あるいは獣の角・骨・歯,さらには石で作られていた。これが黄銅から鉄,さらには鋼へと変わってゆく。網類は最初は草木の繊維(日本ではクズ,シナノキ,イチビ,ツナソなど)が使われていたとみられる。これが後には麻に変わるが,日本ではこの前に稲作文化の進展に伴って,稲わらが多く使われた。網全体に麻糸が広く使われるようになったのは日本では比較的新しく,江戸中期以降と推定されている。これが綿糸に変わるのは産業革命以後,綿が安価・大量に供給されるようになってからで,ヨーロッパでは19世紀後半からであった。日本では幕末にすでに綿糸の網が出現したが,さかんに使われるようになったのは明治の後期すなわち20世紀に入ってからである。さらに第2次大戦後の軽くじょうぶで腐りにくい合成繊維の多彩な発展は,すべての網地を合成繊維へと変えたが,綿糸から合成繊維への切換りは日本では昭和30年代のことであった。
規模・複雑性からみて,釣具,雑漁具の多くは先史時代から用いられていた。釣りの場合,手釣り・さお釣りはあったと思われるが,はえなわについては記紀には記述があるが先史時代には疑問とされている。雑漁具の中でも刺突具と並んでよく用いられたのは筌である。えりが出現するのは中世からである。なお,漁具というより漁法であるが,潜水漁,鵜飼いはひじょうに古くから行われていたらしい。古墳時代以降さかんにやなが用いられるようになる。網としてはすくい網であるさで網のほか,小規模な地引網,四つ手網も使われだす。中世に入ると地引網が最もさかんに用いられる網漁具となり,規模を増す。平安末期から手操網が若狭で用いられた形跡があるが,中世にもこの漁業が行われた。やや大規模な建切網漁業も中世末期には始まった。敷網,刺網もこの期には用いられるようになった。
江戸時代に入ると漁業は著しく発展し,釣漁業の技術が進歩するとともに,沿岸漁網類はいちおう出そろった。しかし,底引網,巻網などの規模の大きいものの出現は動力船の出現する時代を待たねばならず,この期にはまだ打瀬網,揚繰網が見られる程度で,刺網類も沿岸の底刺網が主で,沖合の流し網類は後期にやっと出現する。地引網は依然重要で,イワシ地引網には漁船2艘,漁夫100名におよぶ大規模なものも出現した。定置網は主として大敷型漁網であった。定置網は明治以降大謀型から落し網型へと変わってゆく。大正末期から遠洋漁業も始まり,昭和10年代には漁獲量から見てもピークに達する。
第2次大戦後の発展,とくに近年の特徴は,機械力の利用が進んだことで,主漁具よりは副漁具の発達が目覚ましいことであろう。漁具の進歩は,漁獲の効率を著しく向上させたが,これは容易に乱獲へもつながることとなる。今後,真に効率的にこれらの進歩した漁具を生かす資源管理型漁業のソフトウェアの発展を期さねばならない。
→漁業
執筆者:清水 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
魚貝類や海藻類などの水産動植物を採捕する際に用いる網や釣り具などの器具の総称。漁具は広い意味では主漁具、補助漁具、副漁具に区分され、それらは漁船単位で体系化され機能しているが、一般的には主漁具のみを単に漁具とよんでいる。主漁具は直接漁労に使われて主要な役割を果たす器具で、網漁具、釣り漁具、およびそれら以外のすべての漁具を含む雑漁具の三つに分けられる。補助漁具とは、集魚灯、魚群探知機、漁具監視機器など主漁具と併用して漁労効果を有効確実にするために用いられる機器であり、副漁具とは各種のウィンチ、揚網機、揚縄機など、主漁具の操作を迅速かつ容易にして操業能率をあげるために用いる機器の総称であって、今日では漁労機械とよばれている。
[笹川康雄・三浦汀介]
漁具の種類は非常に多く、その分類法にもさまざまな様式があるが、漁法に重点を置いて、それに構成を加味した分類が一般的である。前記の網漁具、釣り漁具、雑漁具は、さらに漁具の漁獲生物に対する機能的な違いによって、運用漁具(能動漁具)と固定漁具(受動漁具)とに大別される。運用漁具は、漁具を能動的に操作して生物を採捕するものであるから、この類の網漁具は、その水中形状と大きさのほかに、漁獲しようとする生物の運動機能に対応した漁具操作がその漁獲能力を左右する。これに対して固定漁具は、生物が来遊したり、かかるのを待ってとるという生物の感覚や習性に対するトリック漁法をとっているため、人間の感覚では微妙な漁具漁法条件の変化も漁獲性能を著しく変えることがある。このように大別された各漁具は、さらに細かく分類されるが、ここでは主要漁具の概要を述べることにする。
[笹川康雄・三浦汀介]
〔1〕運用網漁具 (1)引網類 袋状の網に長い引綱をつけて水中を水平方向に引き回し、目的物を入網させて漁獲する漁具。地引網類と船引網類とに分類される。地引網類は陸岸を拠点として、網を岸に引き寄せて漁労する漁具である。船引網類は船に網を引き上げる漁具で、船を一定の場所に錨(いかり)で止め、網を船まで引き寄せる引寄せ網類と、移動する船で網を引き回す引回し網類とがある。引網類のほとんどは底生生物を漁獲対象としてつくられており、表層魚を漁獲対象としているのは引寄せ網類中の浮引網類のみである。底引網類は底生生物を対象として、漁具を着底したままで引き寄せる。この網は袋網の網口の左右に両翼網がつき、2本の引綱で引き回される一袋両翼型と、両翼網を欠き袋網の口前に桁枠(けたわく)またはビーム(梁(はり))を取り付けて1本の引綱で操作される一袋型とがある。一袋両翼型には各種の手繰(てぐり)網、一袋型には各種の桁網などが含まれる。引回し網類は、船を移動進行させて網を着底させたまま引き回すものである。船の進行には、風や潮流を利用して横走するものと、動力で縦走するものとがある。前者には各種の打瀬(うたせ)網があり、後者には小型機船底引網、一艘(そう)引機船底引網、二艘引機船底引網、トロール網など漁業上重要なものが多い。小型機船底引網は、総トン数15トン未満の動力船により引網される各種の底引網で、一艘引機船底引網は手繰網と大差がないが、漁船の大きさに相応して網規模が異なる。二艘引機船底引網は、引網中の網口を広げるために2艘の船が適当な間隔を保って引網するようにつくられた網である。トロール網は一袋両翼の底引網で、2本のワープとよばれる長い引綱に各1枚の抵抗板(オッターボード)を装着し、これが受ける抵抗によって両翼網を左右に広げながら引網するもので、投揚網も船尾から行うスターントロールとなり、操作のほとんどが機械化された能率の高い漁具となっている。しかし、この類の網漁具には、幼稚仔(ようちし)の混獲死亡をはじめ、底生生物資源の再生産性を有効に利用する観点からは改善すべき難点もある。
(2)巻網類 上辺に浮子(あば)(浮力)と、下辺に沈子(ちんし)(沈降力)をつけた長方形やそれに近い形の網または引網に似ているが、中央に袋を備える長い両翼のついた形の網である。これらの網で魚群を取り巻き、しだいにその囲いを縮めていき漁獲する。この種の網は漁獲対象を群れごと取り囲むようにつくられているため、一般に規模が大きく、運用漁具中最大で、その漁獲量も日本ではもっとも多い。したがって対象魚種はイワシ、サバ、マグロ、カツオなど群集性に富み、その所在が目視により明瞭(めいりょう)であるか、あるいはソナーや魚群探知機(魚探)で確実に推定しうるものに限定されるが、房総沖から北海道東岸沖までの漁場では、魚探やソナーで探知したマグロ群は、深度の関係で網から逃逸する場合も多い。一艘巻と二艘巻とがあるが、大半が一艘巻巾着(きんちゃく)網になっている。巾着網は、沈子綱から環吊綱(かんつりづな)(ブライドル)で多数の金属製の環(リング)をつるして、これにワイヤロープの締括綱(ていかつづな)(パースライン)を通し、魚群を取り囲んだのち、すぐにパースラインを船内に巻き入れ、網裾(あみすそ)を完全に締めて魚群の逃逸を防止してから揚網する。網の規模は対象魚の群生態とくに運動能力と、漁船の安定性に相応して決める。浮子方の長さはイワシ縫切(ぬいき)り網では300メートル、一艘巻大型船でイワシ、サバを対象とした場合800~1300メートルであるが、カツオ・マグロ類を対象とする場合には1700メートル、二艘巻では2500メートルに達するものまである。網の深さは群生態に相応させ、網の長さの30%から15%ぐらいである。この網は網裾の沈降を速めて魚群の逃逸を防ぐため多くの沈子をつけ、網地も網糸が細く、表面の滑らかなナイロンやポリエステル系の材料が選択されている。なお、巾着網は揚網にパワーブロック(動力滑車)その他が使用されるなど、その操作の大半が機械化されている。
(3)掩網(かぶせあみ)類 投網(とあみ)や提灯網(ちょうちんあみ)のように漁獲しようとする生物の上から網を急にかぶせかけ、包みとる網で、河川、湖沼、海岸の浅所で遊漁用に多く使用される。この類の大半が投網類である。投網はほぼ円錐(えんすい)台形の網で、網裾は丸く、この部分に沈子と沈子綱をつけ、手元の円錐台の上部につけた手綱で網を引き上げる。提灯網は、木、竹、合成材料などで円錐形の枠をつくり、その内側に網地を張り、それを浅所で漁獲しようとする生物の上方よりかぶせてから、網地を緩めて袋状とし、転落させてとり上げるものである。掩網類は規模が小さく、ボラ、アユ、コイ、エビ、イセエビその他の雑魚を対象とする。
(4)抄網(すくいあみ)類 たも網や、さで網のように漁獲対象生物をすくい上げてとるように柄の先に袋状の網を取り付けた簡単な網である。集魚灯を利用したイワシたも網やガサミたも網以外は補助漁具として主漁具と併用される。
〔2〕固定網漁具 (1)建網(たてあみ)類 サケ、イワシ、ブリ、マグロ、イカ、サバなど季節的に接岸回遊する魚群の通路を遮断して網の中へ誘導して陥れ、一挙に漁獲する漁具である。網は一漁期を通じて固定設置するのが普通であるが、数日間ぐらいで位置を変えることもある。建網は一般に定置網とよばれている。建網類は、魚道を遮断するために、陸岸付近から沖合いに向かう垣網(かきあみ)部(手網、道網ともいわれる)と、垣網により誘導されてきた魚群を陥れる身網(みあみ)部(袋網、胴網、箱網などともいう)とからなる。さらに、身網部には囲網(かこいあみ)部(運動場ともいう)を有するもの、あるいは落し網類のように、昇網(のぼりあみ)と称する傾斜のついた漏斗(ろうと)状の通路を有するものもある。これらの建網類は、側張(がわば)りや型綱が土俵や錨(いかり)などで一定の場所に固定され、これに網地がつり下げられており、土俵の固定力と浮子の浮揚力、網地と沈子の沈降力などのつり合いで網の水中形状が適正に保たれている。浅い水深に敷設されるもののなかには、木や竹などの支柱を立てて網の形状を整える桝網(ますあみ)類などがある。建網類は台網類、落し網類、桝網類、出し網類、張網(はりあみ)類、網魞(あみえり)類の6種に分類される。落し網類は垣網、昇網、袋網の3部、または囲網もついた4部からなるもので、昇網を有するところに特徴がある。現在の定置網はほとんどこの機構をもったものになっている。
(2)敷網類 敷網は方形、長方形、円形あるいは穀物の殻や糖をふるい分ける農具である箕(み)状で、その多くは翼網や袋網をもたず、網全体が袋状になるようにつくられている。この網をあらかじめ水中に敷くか張っておき、自然に、あるいは集魚灯、撒餌(まきえ)、駆具(くぐ)などで魚群を網の上に集めてすくい上げる。敷網は抄網から発達したものであるから漁具漁法は抄網と似ている。抄網は急にすくい上げる網であるから大きくすることはできない。しかし、抄網が発達して敷網のように大きくなると、あらかじめ網を水中に広げておき、魚がその上に乗るのを待ってすくい上げる固定漁具とならざるをえない。敷網は浮敷網類と底敷網類とに分けられる。浮敷網は、方形あるいは長方形の網の1辺、または箕状をした網の3辺が浮子で水面に支えられ、残りの3辺または1辺が水面下に沈んだ状態で水中に広げられるもので、棒受(ぼううけ)網、二艘張網、八艘張網、四艘張網、八手(やつで)網(八田(はちだ)網)、焚入(たきいれ)網、ランプ網、ボラ敷網がある。底敷網には各種の袋網、四手(よつで)網、二艘張網がある。集魚灯を用いたサンマ棒受網の漁獲量は敷網類中でもっとも多く、重要な漁具である。
(3)刺網類 刺網類は、帯状の網の上辺に浮子を、下辺には沈子をそれぞれつけて、水産生物の回遊路を遮断するように張り下げるか、海底上に張り立てるかして、漁獲対象が網目に刺さる(網目刺し型)か、体形が網目に刺さりにくい生物や網目に保持しがたい大形魚を網地に絡ませて漁獲する(纏絡(てんらく)刺し型)漁具である。したがって、網目刺し型網は漁獲魚の大きさに対して網目選択性が鋭い。これに対し、纏絡刺し型網は網目選択性が鈍い。また、網目刺し型では、網目を十分に開いて魚が刺さりやすいように網地の縮結を30~40%にし、網糸も魚が認識しにくいように細く、表面の滑らかなナイロンモノフィラメントが選択されている。一方、纏絡型では、網地の張りを弱め、縮結も40~65%まで増やして、からめとりやすくつくられている。ヨーロッパやアメリカでは網目刺し型網をギルネットgill netsとよび、纏絡型網をタングルネットtangle netsとよんで区別している。刺網類は浮刺網類、底刺網類、流し刺網類、巻刺網類、および三枚網類に分けられる。浮刺網類、底刺網および三枚網類のなかには、これらの網が固定設置されることから建網とよぶ地方(関西、九州)もある。漁獲対象生物はサケ、マス、ニシン、カジキ、イワシ、サバ、アカイカなどの回遊性生物、エビ、ヒラメ、スケトウダラ、カニ、カレイなどの底生生物で、分散している群れの漁獲に適しており、濃密な群れは巻刺網で漁獲する。
(4)籠網(かごあみ)類 いろいろな形状の枠を鉄、竹、木あるいは合成材料でつくり、それを網地で覆ったものを籠網といい、雑漁具の籠と区別される。海底に設置し、籠網の中の餌、陰影あるいは柴(しば)などによって水産生物を誘集し、漏斗状の入口から籠網の中へ陥れるようにつくられている。各種のエビ籠、カニ籠、ツブ・バイ籠、イカ巣籠などがある。着業が容易で、未利用の深海漁場でも操業でき、かつ漁獲物の鮮度もよいなど利点が多いことから、世界各地で籠漁業が盛んになっている。幼稚仔の混獲防止のための漁具改良も容易なので、資源管理型漁業に適した漁具でもある。
[笹川康雄・三浦汀介]
水産生物を餌や擬餌(ぎじ)で誘って釣り針(ばり)にかかるのを待つ漁具で、一本釣り具類と延縄(はえなわ)釣り具類とに分けられる。
(1)一本釣り具類 魚が釣り針にかかるごとに釣り上げる釣り漁具で、次の3種がある。竿釣り具(さおつりぐ)にはカツオ、マグロ、サバなどの釣り具があり、機械で操作するものに自動カツオ釣り機がある。手釣り具は比較的深層の水産生物を釣るために長い釣り糸を操作するもので、各種の天秤(てんびん)釣り、立縄(たてなわ)釣り、アジ・サバ手釣りなどがある。また自動イカ釣り機が著しく進歩し、多用されている。引縄釣り具は、航走する船で釣り具を引き回し、餌や擬餌鉤(ばり)を生き餌のように動かして、カツオ、ブリ、マグロ、サワラ、マスなどを釣る漁具である。
(2)延縄釣り具類 1本の長い幹縄(みきなわ)に多数の枝縄(えだなわ)を等間隔につけ、各枝縄の先の釣り鉤に餌を取り付けたもので、一定時間水中に置き、魚がかかるのを待って、引き上げる。タラ、メヌケ、スケトウダラなどの底層魚を漁獲する底延縄類と、マグロ、マスなどを対象とする浮延縄類とがある。
高級魚であるマグロは、おもに延縄釣り具で漁獲されるが、その漁獲量は、1918年(大正7)ころまでは沿岸漁業が主体であり、総漁獲量も2万トンを超えることはなかった。しかし、漁船の機械化による沖合いでの延縄漁業、および流し網漁業(1991年以降公海上での操業禁止)の発達に伴い漁獲は急増し、1929年(昭和4)には両漁業あわせて6万トンを超えた。その後も生産は増え、2009年(平成21)のマグロ延縄漁業による生産高は16万トンにもなる(農林水産省「平成21年漁業・養殖業生産統計」による)。
[笹川康雄・三浦汀介]
〔1〕運用雑漁具 (1)銛簎(もりやす)類 各種のもり、やすのように、突き刺してとるようにつくられた漁具。刺突具(しとつぐ)類ともよばれる。捕鯨銛やカジキなどの突(つき)ん棒、水中銃は広く知られる。
(2)鉤具(かぎぐ)類 ウナギ掻(か)き、タコ鉤、サケ鉤、アワビ鉤など、鉤で引っかけてとる漁具で、鉤引具(こういんぐ)類とよばれる。
(3)挟み具・捩り具(よじりぐ)類 ウナギ挟み、サザエ挟み、カキ挟みのように挟んでとる道具や、ネジリ、マッカのようにコンブ、ワカメなどの藻類を絡めて捩りとる道具で、挟捩具(きょうれいぐ)類とよばれる。
(4)掻具(かきぐ)類 磯(いそ)がね、アワビ起こしなどのように岩についたカキやアワビを掻き起こす道具、シジミ掻き、藻貝掻き、貝巻きのように砂泥中に潜む貝を掻き起こす道具などを一括して掻具類とする。従来、剥把具(はくはぐ)類とよばれる。
〔2〕固定雑漁具 (1)籠類・壺(つぼ)類 ウナギ筒、タコ壺、タコ箱、イカ籠などのように、内部に餌を仕掛けたり、入り込むような巣をつくったりしてとる漁具。誘集陥穽具(ゆうしゅうかんせいぐ)類ともよばれる。
(2)魞(えり)類 魚が自ら迷い込んで逃げられなくなるようにつくられた漁具のうち、魞、簀(す)立てなどのように、網を使わずに木、竹、葭(あし)などでつくられたものをいう。迷入陥穽具ともよばれる。
(3)簗(やな)類 各種の簗、筌簗(うけやな)、上り筌、下り筌などのように急流や威嚇具によって強制的に漁具中に陥らせる種類の漁具を簗類という。従来、強制陥穽具類ともよばれてきた。
[笹川康雄・三浦汀介]
第二次世界大戦後(1945年以降)、漁具は、急速に発展した科学技術を取り入れて著しく進歩した。主漁具では新しい合成繊維や強化プラスチックが、漁網をはじめ各種の漁具の性能を一段と優れたものにし、遠隔操縦も可能になった自動イカ釣り機など各種の自動釣り機が釣り具の能率を高めているが、とくに進歩の目覚ましいものが補助漁具と副漁具である。補助漁具では、魚群探知機の進歩や、各種の漁具監視機器などの開発によって、それまでは経験と勘だけに頼った漁獲困難な水産生物をも、かなりの程度まで計測的にとらえられるようになった。副漁具では、各種の揚網機、揚縄機、ウィンチ類に多くの開発がみられ、安価な燃油を前提として省力化と生産性の向上が計られてきた。このような漁労工程の機械化は主漁具を大規模化し、その構成を変え、それらが漁船全体として体系化されて機能するようになった。これには油圧機など動力伝達方式の発達も大きな役割を果たしている。しかし、持続可能な漁業生産という観点からは、生産手段にだけとらわれているべきではない。漁業を管理するための基本的考え方も必要になる。たとえば、海洋管理協議会(MSC:Marine Stewardship Council)が認証の根拠に置く原則は、その一例である。具体的に示すと、以下のようになる。
(1)適切な水準においていつまでも続けられる。
(2)生態系の健全さと豊かさを保ち、またそれらを最大にする。
(3)漁業が依存するところの生態系の多様性、構造、機能、およびその生息域の質を維持し、漁業による悪影響を最小限にとどめる。
(4)地域、国内、および国際的な法や規定を守り、責任ある方法で管理、操業を行う。
(5)現在および将来の経済的、社会的な選択肢と利益を維持する。
(6)社会的、経済的に公正で、責任ある方法で行われる(MSC漁業規準「持続可能な漁業のための原則と基準」による)。
漁業は水産資源の再生産力に依存しているので、漁具の漁獲能力の増大が底生生物をはじめとする資源を減少させ、生産性を悪化させる事例も増加している。したがって、水産資源の再生産性の有効利用という観点から、幼稚仔の混獲を軽減し、しかも付加価値の高い漁期と漁場で漁獲対象だけをとりうる選択漁法を中心とした漁具・漁法の開発が重要な課題と考えられている。
[笹川康雄・三浦汀介]
『宮本秀明著『漁具漁法学』(1969・金原出版)』▽『直良信夫著『釣針』(1976・法政大学出版局)』▽『西山作蔵著『定置網の手びき』(1978・北日本海洋センター)』▽『金田禎之著『日本漁具・漁法図説』(1981・成山堂書店)』▽『日本学士院日本科学史刊行会編『明治前日本漁業技術史』新訂版(1982・臨川書店)』▽『津谷俊人著『日本漁船図集』(1983・成山堂書店)』▽『井上実著『漁具と魚の行動』(1985・恒星社厚生閣)』▽『金田禎之著『和文・英文 日本の漁業と漁法』(1995・成山堂書店)』▽『農林水産省大臣官房情報評価課編・刊『平成21年度 農林水産省年報』(2011)』
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