馬耙とも書く。地方によっては〈まんぐわ(万鍬)〉となまっていう所もある。水田を耕起したあと,田植をする数日前に水を入れ,代搔き(しろかき)をするための畜力用具。長さが0.6~1mの横木に,12~25cmの歯を植え込み,横木には操るために鳥居状の取手(横柄)と,牽引(けんいん)のための綱を結び付ける腋手(猿手)を取り付けたもの。歯は方形断面で錬鉄製が多いが,堅い木材でつくられたこともあった。歯の数は土性などにより変わるが,9~13本が一般的である。少し後ろに倒すような姿勢で役畜に引かせ,歯で土塊を細かくするとともに,肥料の密度を一様にし,田面を均平にする効果を兼ねている。多くの変形が各地で考案され,歯を剣状にしたものや,歯列を複数にしたものなどがある。畑用の砕土具としても変形されたが,なかには自由転動する円筒に多数の歯を植え込んだ〈車まぐわ〉と呼ばれるものもつくられた。また人力用に〈振(ふり)まぐわ〉があるが,これは手で持って左右に振りながら砕土するものである。
執筆者:堀尾 尚志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
馬耙(まぐわ)とも書く。横木に長さ15センチメートルくらいの歯(鉄あるいは竹)を、その長さと同じくらいの間隔で植え、横木から前方水平に轅(ながえ)2本を取り付け、綱を介して牛や馬に牽(ひ)かせ、田の代掻(しろかき)をする農具。横木の上方に鳥居状の把手(とって)を設け馬鍬の姿勢を調節する。中国起源のものと考えられているが、アジアの水田地帯では一般的な農具である。中国で、畑地の砕土に用いるものには「耙(は)」、代掻には「耖(そう)」をあてている。馬鍬は華北から朝鮮半島を経由して伝えられたと考えられている。なお、今日では、トラクター装着あるいは歩行型のロータリー耕耘(こううん)装置で行っている。
『飯沼二郎・堀尾尚志著『農具』(1976・法政大学出版局)』
…このように西アフリカのミレット農耕はすべての作業が人力によってなされるのを特色とするが,北方の地域では近年犂の導入もみられるようになった。 デカン高原のミレット農耕では,整地は無床ないし短床のインド犂による犂耕(りこう)と,角材の横木の下に長い木あるいは鉄の歯をとりつけた耙(まぐわ)(熊手耙)による耙耕(はこう)とを組み合わせて行われる。犂,耙ともに2頭の雄牛でひく軛(くびき)にまっすぐな轅(ながえ)で接続されて牽引(けんいん)される。…
※「馬鍬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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