負温度(読み)フオンド

デジタル大辞泉 「負温度」の意味・読み・例文・類語

ふ‐おんど〔‐ヲンド〕【負温度】

原子分子の集まりが、エネルギーが低い状態より高い状態により多く分布していること。熱力学的な平衡からは離れており、過渡的な状態として実現する。光ポンピングを受けた原子や分子の集団は負の温度であり、レーザーメーザーに利用される。負の温度。

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化学辞典 第2版 「負温度」の解説

負温度
フオンド
negative temperature

物質熱平衡状態に置かれているとき,そのなかの分子あるいは原子のエネルギー準位 E1E2(E1E2)に分子(原子)が分布する数 N1N2 の比は,通常,ボルツマン分布に従う.

ここで,kボルツマン定数Tは絶対温度である.一方,レーザーメーザーなどの誘導放出を利用した電磁波増幅を行うような場合には,N1N2 でなければならない.このようなときは熱平衡状態ではないが,N1N2 の関係にボルツマン分布をそのまま適用すると,Tは負の値をとることになる.このようにして定義される負の値をもつ温度(負温度)は実際の温度ではないが,N1N2 であるような状態を表現するものとして用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報