貧しき人々(読み)まずしきひとびと(その他表記)Бедныелюди/Bednïelyudi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「貧しき人々」の意味・わかりやすい解説

貧しき人々
まずしきひとびと
Бедныелюди/Bednïelyudi

ロシア小説ドストエフスキーの中編小説で作者の処女作。1846年『ペテルブルグ文集』に発表。物語は、ペテルブルグの裏町に住む50歳に近い小官吏ジェーブシキンと薄幸の娘ワルワーラとの往復書簡の形で進められる。二つの善良な魂の間に芽生えた恋は実らずに終わるが、作者はこの不幸な恋を語りながら貧しく無力な人々の孤独屈辱を訴え、人生の意義を追求する。この原稿を読んで感激したグリゴロービチネクラーソフ早朝に作者をたたき起こし、「新しいゴーゴリの出現」を祝福し、彼をベリンスキーに紹介したことが、24歳の無名作家を一躍文壇の寵児(ちょうじ)とするきっかけとなった。

江川 卓]

『原久一郎訳『貧しき人々』(岩波文庫)』『木村浩訳『貧しき人びと』(新潮文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貧しき人々」の意味・わかりやすい解説

貧しき人々
まずしきひとびと
Bednye lyudi

ロシアの作家 F.ドストエフスキーの小説。 1845年成立,46年発表。貧しい人々の純粋な愛と悲しみを書簡体で描いたヒューマニズムの香りの漂う作品。ドストエフスキーの処女作で,出世作

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