貨物情報システム(読み)かもつじょうほうしすてむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「貨物情報システム」の意味・わかりやすい解説

貨物情報システム
かもつじょうほうしすてむ

コンピュータなどの電子機器を活用して、貨物輸送に必要な情報を収集、処理、伝達し、それによって輸送の円滑化、効率化を図る目的で組織された情報管理システム。このシステムは、機能的には、輸送計画の策定、輸送の運営、管理資料作成の三つの部分システムから成り立っている。

 貨物情報システムの組織者は荷主と運輸業者に大別される。荷主のシステムは、自社の物流管理の一環として組織する輸送管理のためのシステムであり、受注・出荷・配送の業務管理よりなり、その結果は生産管理、在庫管理、販売管理にフィードバックされる。運輸業者のシステムは、自社の輸送管理を目的とするものと、地域間の貨物輸送情報の共同管理・斡旋(あっせん)を目的とするものに分けられる。前者のシステムは、受注、配車などの運行業務管理と営業販売業務管理からなり、その結果は車両管理、経営計画などに反映される。後者のシステムは、地域間の貨物情報管理と返路貨物斡旋管理のネットワークを組み、需給の共同管理による輸送の効率化をねらいとしている。具体的には、日本のJR貨物は地域間急行情報システム、コンテナ情報システム(エポックス)をもち、トラック路線業者は自社システムを開発し、区域業者では地域間情報ネットワーク・システムの研究開発が進められている。これらのシステムはいずれも物流時間の短縮輸送効率向上、業務の省力化・効率化、輸送トータルコストの低減をねらいとするものである。

[宇野耕治]

『運輸経済研究センター編『運輸情報システム・ガイドブック』(1976)』『日通総合研究所編『物流ハンドブック』(1981・ダイヤモンド社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android