日本大百科全書(ニッポニカ) 「貴港」の意味・わかりやすい解説
貴港
きこう / コイカン
中国、広西(こうせい)チワン族自治区中部の地級市。市内で郁江(いくこう)と黔江(けんこう)が合流して潯江(じんこう)となり、珠江(しゅこう)水系の西江(せいこう)につながる。3市轄区、1県を管轄し、桂平(けいへい)市の管轄代行を行う(2019年時点)。人口523万8083(2012)。明(みん)代に貴県が置かれ、1988年市制施行して貴港市となった。1995年地級市に昇格。
サトウキビを産し、製糖業は市の主要産業である。鉄、金、苦灰石などの埋蔵量が豊富で、なかでもギブス石の推定埋蔵量は約2億トンに及び、鉱業、金属加工業、化学工業なども盛ん。台湾の資本を導入した電子部品工業を中心とする工業団地が立地する。また水資源が豊富で、大藤峡水力発電所は国家の重点水利事業に位置づけられている。南広線(南寧(なんねい)―広州(こうしゅう))、黎湛線(黎塘(れいとう)―湛江(たんこう))が通じる。華南地区最大の内陸港を擁する水運の要衝で、1993年には国家一類口岸(出入国審査場)に指定され、対外開放された。ミャンマーと中国を結ぶ天然ガスパイプラインの中国側の終点である。
太平天国の乱の先駆となった金田(きんでん)蜂起の舞台として知られ、資料館や石碑などがある。
[周 俊 2019年3月20日]