質侶郷(読み)しとろごう

日本歴史地名大系 「質侶郷」の解説

質侶郷
しとろごう

古代の郷名。「和名抄」東急本では「質治」、高山寺本では「賀沼」、名博本では「賀治」と記されるが、平安時代には蓁原郡内に質侶牧(現金谷町)が存在することより、これら諸本の郷名はいずれも「質侶」の誤記と考えられる。「遠江国風土記伝」は「志戸侶」とし、「大日本地名辞書」は現金谷かなや志戸呂しとろから大井川をさかのぼった同町高熊たかくまにかけての地域に比定する。一一世紀前半に置かれた質侶牧のなかの地名としても質侶郷がみえる。


質侶郷
しとろごう

現在の金谷町域に所在した中世の郷。質侶庄を構成した三郷の一。大治四年(一一二九)頃と推定される年月日未詳の質侶牧四至注進状案(陽明文庫蔵宗性筆最勝講聴衆記紙背文書)に質侶郷とあり、郷内の村として一一ヵ村(二村は未詳)があげられている(→質侶庄。治承二年(一一七八)四月二六日の質侶庄年貢物等注文案(東大寺図書館蔵宗性筆唯識論第五巻問答抄紙背文書)によると、本家円勝えんしよう(現京都市左京区)に上納される年貢公事の質侶郷分は現米一〇〇石と白布三〇段、待賢門院忌日所課および正月修正会料として続松一〇五把などとなっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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