化学辞典 第2版 「超酸化カリウム」の解説
超酸化カリウム
チョウサンカカリウム
potassium hyperoxide, potassium superoxide
KO2(71.10).IUPAC命名法による体系名は,二酸化(1-)カリウム(potassium dioxide).生化学命名法では O2- は超酸化物(superoxide)イオンとよばれるが,無機化学命名法では二酸化物(1-)イオンとよぶことを薦めている.液体アンモニアにKを溶かし,乾燥空気と-30~-50 ℃ で反応させるか,または,Kを乾燥空気中で長時間加熱すると得られる.黄色の正方晶系結晶.結晶には O2- が存在し,O-O1.28 Å.炭化カルシウム型構造.高温では O2- の向きが乱れ,塩化ナトリウム型構造になる.密度2.14 g cm-3.室温では空気中でも安定である.融点380 ℃.480 ℃ でK2O3と O2 に分解する.強い酸化剤で刺激により発火の危険性がある.水と反応して O2 を発生してKOHになる.常磁性(磁気モーメント2.04μB)で,室温以上では半導体となる.CuCl2存在下では,呼気中の水蒸気と反応して O2 を発生するので,容器に入れて登山用などの酸素源に用いられる.[CAS 12030-88-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報