洪水流の一部をそこから越流させて河道の外部に導くための堤防。他の堤防部分に比べて高さを低くしてあり,水位がその高さを越えると越流するようになっている。下流平野部の洪水被害を防止・軽減する目的で,川沿いの土地利用度の低い広大な土地に洪水流の一部を導く場合などに設けられる(この目的に利用される土地を遊水池(調節池)という)。洪水が越流しても破壊しないよう,堤防の表裏とも堅固な構造とする必要がある。明朝末期,中国の黄河に設けられたのが最初と推定されており,日本では19世紀の文久年間に熊本の緑川支流の浜戸川に造られたのが本格的な越流堤の最初で,当時は乗越堤,荒手などと呼ばれていた。
→堤防
執筆者:中沢 弌仁
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…そのために堤防の一部を低くし,ある程度洪水位が上昇すると,この部分から洪水流を遊水池へと流れ込ませるようにする。この部分の堤防を越流堤と称し,洪水流が越流しても破壊しないように特別にがんじょうにしておく。一般の堤防も破れれば氾濫による水害を招くので,破壊しないように細心の注意を払って,堤防の設計,施工,維持管理に努めることは,治水の重要な狙いである。…
…洪水の被害の激しかったところでは,幹川の堤防(本堤)よりも奥へ入ったところに副堤(控堤ともいう)をつくり,本堤が破堤しても被害を最小限におさえるための堤防とした事例もある。また河川によっては,重要な地域を守るため,その対岸の土地利用度の低い地域へ洪水を意図的にはんらんさせる目的で,ほかの部分より若干低くした越流堤がつくられている。ただし最近では,越流堤によりはんらんさせる土地を周囲堤によって囲み,洪水時のみ遊水させ,被害を極力おさえるようにしている(図1)。…
※「越流堤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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