足白癬(読み)アシハクセン(英語表記)Tinea pedis

デジタル大辞泉 「足白癬」の意味・読み・例文・類語

あし‐はくせん【足白×癬】

水虫1のこと。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

六訂版 家庭医学大全科 「足白癬」の解説

足白癬(水虫)
あしはくせん(みずむし)
Tinea pedis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 足に生じる白癬菌(はくせんきん)感染症で、白癬なかでは圧倒的に多く、全白癬患者の65%程度を占めます。さらに足白癬にかかっていても皮膚科を受診しない患者さんも多く、日本人の20%くらいがかかっているというデータもあります。

原因は何か

 感染の機会が多いことがまず問題になります。家族内に白癬の患者さんがいる人、老人ホームなどの施設で集団生活をしている人、プール共同浴場の利用が多い人はうつる危険が多いといえます。そのほか、足の指の間が狭い、多汗で湿りやすいなどの皮膚の問題、長期間の革靴長靴・安全靴の着用など生活習慣、入浴回数が少ない、不潔などの不適切なスキンケアも関係します。

症状の現れ方

 足白癬は趾間型(しかんがた)小水疱型(しょうすいほうがた)角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)に病型分類されますが、複数の病型を示すことも多くみられます。

 趾間型は、足の指の間に浸軟(しんなん)、あるいは乾いた鱗屑(りんせつ)(皮膚表面からはがれかけている角質)を付着する紅斑性局面を示し、びらん(ただれ)や亀裂を伴うことがあります。

 小水疱型は、足の底から足の側縁にかけて、半米粒大までの集まったり癒合する傾向のある水疱、膿疱(のうほう)を伴う紅斑性局面を示します。ともに春から夏にかけて発症・悪化しやすく、かゆみを伴うことが多いのですが、必ずではありません。

 角質増殖型は、かかとを中心に足の底全体の皮膚の肥厚(ひこう)・角化、細かく皮膚がむける落屑(らくせつ)を特徴とします。かゆみは少なく、冬もあまり軽快しません。

 足白癬と区別すべき主な疾患は、接触皮膚炎(せっしょくひふえん)汗疱(かんぽう)異汗性湿疹(いかんせいしっしん)掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)掌蹠角化症(しょうせきかくかしょう)などです。炎症症状の強い足白癬の悪化時に、手あるいは白癬病変のない足に小水疱が左右対称に生じることがあります。この病変中からは白癬菌は検出されず、一種のアレルギー反応と考えられ、白癬疹(はくせんしん)と診断されます。

検査と診断

 直接鏡検(顕微鏡での検査)KOH法で行います。

治療の方法

 角質増殖型以外は、外用療法が基本です(白癬)。外用期間は最低でも1カ月は必要です。また、症状が消えても2カ月程度は追加治療したほうがよいとされています。足白癬は患者さんにより病気に対する認識が異なり、治療に対する態度も異なりますが、可能なかぎり治癒を目指し、治療すべきです。

 外用薬や内服薬進歩で、ほとんどの患者さんで治癒が可能になりました。しかし、どうしても治らない時は、症状を悪化させない、角質増殖型あるいは爪白癬など難治性の病型にしない、手や体部などほかの部位へ拡大させない、さらにほかの人への感染源にならないなどを目標に、治療を継続する必要があります。

病気に気づいたらどうする

 足白癬の予防は、患者さんからの菌の散布防止、環境中の除菌、足への菌の付着と発病の防止に分けられます。すなわち、集団生活しているなかのすべての患者さんが適切に治療すること、通常の方法でよいので掃除をこまめに行うこと、かかっていない人は毎日入浴時に足を洗って清潔にすることなどが重要です。

加藤 卓朗

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「足白癬」の解説

あしはくせんかんぽうじょうはくせんみずむし【足白癬(汗疱状白癬/みずむし) Foot Ringworm, Tinea Pedis】

[どんな病気か]
 足底(そくてい)や足縁(そくえん)、趾間(しかん)(足指の間)など、角質(かくしつ)が厚く、毛孔(もうこう)がない部分にできます。猩紅(しょうこう)色菌と毛瘡菌(もうそうきん)がおもな原因菌です。男性にやや多く、10歳未満には少なく、20歳代から急激に増えます。
 一般に夏に悪化し、冬に軽快する傾向がありますが、暖房の普及した現在では、必ずしも冬に軽くなるとはかぎりません。長時間靴を履く人、発汗の多い人に多くみられます。
[症状]
 趾間型足白癬(しかんがたあしはくせん)、小水疱型足白癬(しょうすいほうがたあしはくせん)、角質増殖型足白癬(かくしつぞうしょくがたあしはくせん)の3つの病型があります。
■趾間型足白癬(しかんがたあしはくせん)
 趾間の皮がむけ、角質が厚くなって白くふやけたり、びらん(浅い潰瘍(かいよう))になることがあります。薬指と小指の間に、もっともよくみられます。
■小水疱型足白癬(しょうすいほうがたあしはくせん)
 足底や足縁に小水疱、鱗屑(りんせつ)が生じ、強いかゆみがあります。季節的変動がはっきりしています。
■角質増殖型足白癬(かくしつぞうしょくがたあしはくせん)
 足底全体の角質が厚くなり、鱗屑や亀裂(きれつ)が生じますが、前の2つに比べずっと少ないものです。かゆみや季節的変動がないため(ただし、亀裂は冬のほうがひどい)、みずむしと思っていない人が多いようです。
 以上、いずれも汗疱(かんぽう)、湿疹(しっしん)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、掌蹠角化症(しょうせきかくかしょう)、紅色陰癬(こうしょくいんせん)などと症状が似ているため、真菌の確認による鑑別診断が必要です。
[治療]
 趾間型足白癬、小水疱型足白癬では、外用抗白癬剤を1日1~2回塗布(とふ)します。とくに入浴後が効果的です。最低1~2か月は続けることが必要で、1年以上かかることもあります。再発させないコツは、きれいになってもさらに2か月続けること、皮疹部(ひしんぶ)より広く塗ることです。角質増殖型は外用療法では治らないことも多く、経口の抗白癬剤を服用します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「足白癬」の意味・わかりやすい解説

足白癬
あしはくせん

汗疱状白癬」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の足白癬の言及

【水虫】より

皮膚真菌症の一つ。足に真菌(いわゆるカビ)の一種である皮膚糸状菌が感染して発症する皮膚疾患の俗称で,医学的には足白癬(そくはくせん)tinea pedisあるいは汗疱状白癬という。手や爪の白癬に対しても手水虫,爪水虫と呼ばれることもある。…

※「足白癬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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