掌蹠膿疱症(読み)ショウセキノウホウショウ(その他表記)Palmoplantar pustulosis

デジタル大辞泉 「掌蹠膿疱症」の意味・読み・例文・類語

しょうせき‐のうほうしょう〔シヤウセキノウハウシヤウ〕【掌×××疱症】

手のひらや足の裏に水疱膿疱ができる皮膚病水虫に似るが菌は検出されない。

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精選版 日本国語大辞典 「掌蹠膿疱症」の意味・読み・例文・類語

しょうせき‐のうほうしょうシャウセキノウハウシャウ【掌蹠膿疱症】

  1. 〘 名詞 〙 手のひらや足の裏に水疱や膿疱ができる皮膚病。水虫に似るが菌は検出されない。

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六訂版 家庭医学大全科 「掌蹠膿疱症」の解説

掌蹠膿疱症
しょうせきのうほうしょう
Palmoplantar pustulosis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 手のひらや足の裏に無菌性の膿疱(うみをもった皮疹)が生じて慢性の経過をたどる病気です。完成像は、境界がはっきりした紅斑落屑(らくせつ)局面に多数の膿疱をもちます。ばい菌やウイルスがついていないのに、手のひらや足のうらに膿疱ができる病気と考えてください。

原因は何か

 現在のところは不明です。欧米では、乾癬(かんせん)の一亜型とする考え方が有力です。

 日本では乾癬とは無関係で、病巣感染金属アレルギー原因として重視する考え方もあります。

 喫煙者に多い病気です。

症状の現れ方

 手のひらや足の裏(とくに土踏まずの部分)に膿疱ができ、周囲に赤みをもつようになります。赤みはお互いにくっつき合って、手のひらや足の裏全体の皮がむけて赤くなる状態になり、そのなかに膿疱やかさぶたが見えるようになります。

検査と診断

 専門医が見れば特徴的な臨床像から確定診断ができますが、真菌(しんきん)検査水虫の検査)や、わかりにくい時は皮膚をとって顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)を行うこともあります。

治療の方法

 ステロイド薬の外用、エトレチナート(チガソン)の内服、免疫抑制薬(ネオーラル)の内服、紫外線療法などがありますが、短期間での根治は難しい病気です。

病気に気づいたらどうする

 禁煙を心がけます。感染病巣の摘出という手段もあります。耳鼻科扁桃(へんとう)誘発という試験をして、陽性ならば扁桃腺を摘出します。また、金属アレルギーの検査を行って、陽性であれば歯科金属の除去を考えることもあります。

田中 俊宏

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改訂新版 世界大百科事典 「掌蹠膿疱症」の意味・わかりやすい解説

掌蹠膿疱症 (しょうしょのうほうしょう)
palmoplantar pustulosis

〈しょうせきのうほうしょう〉とも読み,膿疱性細菌疹ともいう。手のひらや足底に頑固に繰り返して起こる皮膚疾患。病因については,病巣感染すなわち細菌アレルギーとする説,乾癬(かんせん)の一型とする説,あるいは金属アレルギーによるとする説など諸説があって,いまだ定説はない。手のひらや足底の小水疱で始まり,すぐに膿疱化し紅暈(こううん)(膿疱のまわりが赤くなること)を伴う。これがつぎつぎと多発して紅斑落屑(らくせつ)性局面(紅斑にかさぶた様のものがつく状態)となり,さらにこの上に多数の膿疱ができて汚ない病変となる。膿疱の内容は無菌で,かゆみの程度には個人差がある。まれにひじ頭,ひざ,頭髪部に紅斑落屑性の変化が出ることがある。水虫(足白癬)や膿疱性乾癬,稽留性肢端皮膚炎などとも類似するので注意を要する。治療としては,病因とみなしうる疾患があれば,まず原疾患に対する治療を行い,次いでステロイド外用療法を主体に行うが,完治するのは難しく,慢性化する。免疫抑制剤など特殊な治療方法が試みられることもある。
執筆者:

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家庭医学館 「掌蹠膿疱症」の解説

しょうせきのうほうしょう【掌蹠膿疱症 Pustulosis Palmaris et Plantaris】

[どんな病気か]
 手のひら(掌(しょう))や、足底(そくてい)(蹠(せき))だけに膿疱性皮疹(のうほうせいひしん)(膿(うみ)をもった発疹(ほっしん))ができ、長期間にわたって再発をくり返します。胸鎖関節痛(きょうさかんせつつう)をともなうこともあります。発生頻度の高い代表的な膿疱性皮膚疾患です。
[原因]
 慢性扁桃炎(まんせいへんとうえん)やむし歯などの感染の影響や歯科治療で使用される金属アレルギーによることもありますが、多くは原因不明です。
[検査と診断]
 視診で診断可能ですが、手足の白癬(はくせん)(みずむし)と区別するため、落屑(らくせつ)(乾燥してはがれおちた皮膚くず)を苛性(かせい)カリ法(KOH法)で処理し、顕微鏡で検査します。症例によっては、慢性扁桃炎、むし歯の検査、金属アレルギーのパッチテスト(貼付試験(ちょうふしけん))で原因を明らかにします。
[治療]
 副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン外用剤または光線療法(PUVAと呼ばれ、メトキサレン剤のオクソラレンの外用と紫外線を照射する方法)が実施されます。重症の場合はDDS(ジアフェニルスルホン、ダプソン。商品名レクチゾール)、コルヒチン剤、シクロスポリン剤、ビタミンA誘導体の内服療法が実施されます。原因が判明したら、原因除去治療(扁桃の摘出や歯科金属の除去)を行ないます。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「掌蹠膿疱症」の意味・わかりやすい解説

掌蹠膿疱症
しょうせきのうほうしょう
pustulosis palmaris et plantaris

手掌足底膿疱症,膿疱性細菌疹ともいう。手のひら,足底に対側性に無菌性の小水疱,小膿疱が多発し,しばしば融合して紅斑性の局面を形成するものをいう。ときに頭,肘,膝に紅斑性角化性皮疹が生じる。通常かゆみを伴わない。慢性に経過し,悪化と軽快を繰返す。上気道感染症の際に発熱して,膿疱性皮疹が全身に多発することもある (汎発性掌蹠膿疱症) 。原因としては,扁桃や虫歯などの慢性感染病巣に基づく感染アレルギー (病巣感染) 説が有力視されている。ほかに乾癬の特殊型説などもある。

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世界大百科事典(旧版)内の掌蹠膿疱症の言及

【掌蹠膿疱症】より

…〈しょうせきのうほうしょう〉とも読み,膿疱性細菌疹ともいう。手のひらや足底に頑固に繰り返して起こる皮膚疾患。病因については,病巣感染すなわち細菌アレルギーとする説,乾癬(かんせん)の一型とする説,あるいは金属アレルギーによるとする説など諸説があって,いまだ定説はない。手のひらや足底の小水疱で始まり,すぐに膿疱化し紅暈(こううん)(膿疱のまわりが赤くなること)を伴う。これがつぎつぎと多発して紅斑落屑(らくせつ)性局面(紅斑にかさぶた様のものがつく状態)となり,さらにこの上に多数の膿疱ができて汚ない病変となる。…

※「掌蹠膿疱症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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