(読み)コ

精選版 日本国語大辞典の解説

あつどこ・ぶ【跨】

〘自バ上二〙 「あふどこぶ(跨)」の変化した語。
伊呂波字類抄(鎌倉)「跨 アツトコフ」

あどこ・ぶ【跨】

〘自バ上二〙 「あふどこぶ(跨)」の変化した語。
※書紀(720)顕宗三年是歳(図書寮本訓)「紀生磐(おひいは)宿禰、任那に跨(アトコヒ)(よ)りて高麗(こま)に交通(かよ)ふ」

あふづく・む【跨】

〘自マ四〙 =あふどこぶ(跨)
※大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃)「千古に跨(アフツクム)て以て声(〈注〉名)を飛ばし、百王を掩(おほ)ひて実を騰(あ)げたり」

あふどこ・ぶ【跨】

〘自バ四〙 股にかけて越える。またがる。また、足をそろえておどりあがる。あふどこむ。あふづくむ。あつどこぶ。あどこぶ。
※書紀(720)舒明九年是歳(北野本訓)「汝(いまし)が祖等(おやたち)蒼海(あをうなばら)を渡り、万里(とほきみち)を跨(アフトコヒ)て、水表の政を平(む)けて」
[語誌](1)訓点資料に特有の語。古くは「あふどこむ」「あふづくむ」であったかと考えられる。「あ」は足の意と思われるが、「ふどこむ」「ふづくむ」については未詳。「どこ」と「づく」とはuとoとの交替であろう。
(2)その後、語尾「む」が「ぶ」に転じて「あふどこぶ」の語形を生じ、さらに、「ふ」の撥音化「ム」表記である「あむどこぶ」となり、促音化して「あつどこぶ」「あどこぶ」と表記されたものと考えられる。

あふどこ・む【跨】

〘自マ上二〙 =あふどこぶ(跨)
新撰字鏡(898‐901頃)「躇跨 斉足而踊之㒵 又越也 阿不止己牟 又乎止留」

あむどこ・ぶ【跨】

〘自バ上二〙 「あふどこぶ(跨)」の変化した語。
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九「少林の伽藍閑(かん)居寺等有り。皆巖壑(かむかく)に跨(アムトコヒ)(よ)りて、林泉を縈(けい)帯せり」

また・ぐ【跨】

[1] 〘他ガ五(四)〙
① 股をひろげて物の上を越える。
※俳諧・其袋(1690)冬「又乙雪をちぎる別路〈立志〉 外に寐て尤(とがめ)ぬ犬をまたぎ越(こゑ)〈嵐雪〉」
② 一方から他方へと、隔てるものを越える。
※黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉六「高瀬川を跨(マタ)ぐ小橋の西詰に」
[2] 〘他ガ下二〙 ⇒またげる(跨)

またげ【跨】

〘名〙 (動詞「またぐ(跨)」の命令形から)
① 駕籠(かご)かきが、出発する時や肩を替える時、あるいは跨ぐべき所があった時などに、相肩に向かっていう合図の掛け声。
浄瑠璃・本領曾我(1706頃)大夫尽し「迎ひの輿に助け乗せ〈略〉急げや、合点じゃ、またげじゃ、まっかせ」
道中駕籠の駕籠かき。
※浄瑠璃・小栗判官車街道(1738)二「肩も揃はぬ旅籠を、爰じゃ爰じゃと、どっかと舁据へ、エエしまな旦那殿またげには草臥物と」

また・げる【跨】

〘他ガ下一〙 また・ぐ 〘他ガ下二〙 足をひろげ、またがるようにする。足をひろげ、二つのものをふまえる。〔一字頂輪王儀軌音義(800頃)〕
※宇治拾遺(1221頃)一「西大寺と東大寺とをまたげて立ちたりと見て」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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