旺文社世界史事典 三訂版 「軍縮条約」の解説
軍縮条約
ぐんしゅくじょうやく
1899年と1907年に開かれた万国平和会議では軍縮は実現しなかったが,重要な戦時国際法が成立した。第一次世界大戦後,国際連盟が発足し,全面的な軍縮の前提としてドイツなど敗戦国の軍備縮小を決定したほか,1930年軍備制限方式を作成し,その上で32年2月ジュネーヴで軍縮国際会議が開かれたが,翌33年ヒトラーの脱退声明によって失敗に終わった。この間,ワシントン条約・ロンドン条約など数か国間の海軍軍縮条約が成立をみたが,1936年以降は軍縮条約が成立せず,第二次世界大戦の発生を防止できなかった。大戦後,国際連合が発足し,国連憲章で軍備縮小と規制を国連の任務とした。特に1950年代後半からは,軍縮は核兵器の制限・禁止を緊急の中心課題とすることになり,各種の会議が行われた。1963年には部分的核実験停止条約,87年には中距離戦略兵器(INF)全廃条約,91年には戦略兵器削減条約(START Ⅰ),93年には第2次戦略兵器削減条約(START Ⅱ)などが締結されてはいるが,その一方でインド・パキスタン・フランス・中国が核実験を強行したり,各地で民族紛争,地域紛争が続いている。
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