転換法(読み)てんかんほう

精選版 日本国語大辞典 「転換法」の意味・読み・例文・類語

てんかん‐ほうテンクヮンハフ【転換法】

  1. 〘 名詞 〙 数学における証明法の一つ。「いくつかの正しい命題があって、それらの命題の仮定がすべての場合をつくし、それらの結論がどの二つも両立しないならば、それらの命題の逆はすべて成り立つ」ことを論拠とするもの。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「転換法」の意味・わかりやすい解説

転換法 (てんかんほう)

数学用語。一群定理において,どの二つの定理の仮定も同時に満たされることはなく,どの二つの定理の結論も同時に満たされることはないとき,その一群の定理の逆はすべて正しい。このことを利用して証明する証明法を転換法という。例えば,△ABCにおいて,(1)ABACならば∠ABC<∠ACB,(2)AB=ACならば∠ABC=∠ACB,(3)AB<ACならば∠ABC>∠ACBは三つの定理に分けて考えれば上述のような状況にあるので,この三つを証明すれば,これらの逆,(1)′∠ABC<∠ACBならばAB>AC,(2)′∠ABC=∠ACBならばAB=AC,(3)′∠ABC>∠ACBならばAB<ACの証明もできたことになる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「転換法」の意味・わかりやすい解説

転換法
てんかんほう
conversion

一群の真である命題があって、これらの命題の仮設はある事柄についておこりうるすべての場合を尽くし、かつ、それらの結論は互いに独立である(二つ以上のことが同時に成り立つことはない)とする。このとき、これらの一群の命題の逆はすべて真であるといえる。この原理に基づいて行う証明法を転換法という。

 たとえば、△ABCにおいて、(1)AB>ACならば∠C>∠B(2)AB=ACならば∠C=∠B(3)AB<ACならば∠C<∠Bである。

 ここで、(1)、(2)、(3)の仮設は、三角形の二辺、ABとACの大小関係のすべての場合を尽くしており、三つの結論のうちどの二つも同時に成り立つことはない。したがって、これらの定理の逆はすべて成り立つといえる。つまり、△ABCにおいて∠C>∠BならばAB>AC、∠C=∠BならばAB=AC、∠C<∠BならばAB<ACである。

古藤 怜]

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