改訂新版 世界大百科事典 「農協中央会」の意味・わかりやすい解説
農協中央会 (のうきょうちゅうおうかい)
正称は農業協同組合中央会。1954年の農業協同組合法の改正に基づき,農協(農業協同組合)の健全な発達を図ることを目的として,農協の組織や事業に対する指導や監査,教育などを行う指導団体として制度化された。その組織は各府県の単位農協と連合会を会員とする都道府県農業協同組合中央会と,各府県の中央会と全国連合会を会員とする全国農業協同組合中央会(全中と略称)との2段階制をとっており,両者は有機的に作用しあっている。両者とも日本の農協の総括的代表者ないしリーダーとして位置づけられ,農協を代表する機関といえる。
中央会はいわゆる経済事業は行わない。傘下のすべての組合に対して次のような事業を行う。(1)組合の組織,事業および経営の指導,(2)組合の監査,(3)組合に関する教育および情報の提供,(4)組合の連絡および組合に関する紛争の調停,(5)組合に関する調査および研究,(6)組合の利益に関して行政庁に対する建議を行う,など。そして中央会の経費は主として会員からの賦課金によって賄われている。
上記のように,中央会の主要な任務は組合指導や組合教育を行うことにあるが,農協の利益代表行為としてのその農政活動は,米価決定に際しての活動などにみられるように,かなりの影響力をもっている(〈米価〉の項参照)。また,国際的な面においては全中が国際協同組合同盟(ICA)に加入し,国際間の協同組合運動の発展に一役かった活動をしている。
→農業協同組合
執筆者:臼井 晋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報