辻金具 (つじかなぐ)
馬具の一部。三繫(さんがい)(面繫(おもがい),胸繫(むながい),尻繫(しりがい))の革紐や組紐が交差するところ,すなわち辻の留金具。紐が四方に出るものと三方に出るものとがあり,辻金物ともいう。前1千年紀以前の中国では青銅製の管状十字形や笠形が多く用いられたが,漢代に紐を環状金具にかけて留める方法にかわり,5世紀には鉄地金銅張り,金銅製,鉄製の脚付半球形金具の脚に紐を鋲で留める方法が加わった。この系統に属するものは,日本では平安時代から雲珠(うず)とよばれたが,5脚以上を雲珠とし,機能的に4脚と3脚を辻金具として区別したほうがよい。紐を組み合わせるか結び合わせて辻をつくり,金具類を辻に使用しない面繫や尻繫もある。なお角製や石製の辻の装具も用いられた。
→馬具
執筆者:小野山 節
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
辻金具
つじかなぐ
馬具の一種。尻繋 (しりがい。→三繋 ) の交差するところに取付ける金具。古墳出土のものは半球状の座の四方に短い足が出て,その足に紐を鋲留めにする形式で,鉄の地に金銅を張ったものが多い。
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辻金具
半球の四方に板を付けた馬具[ばぐ]です。馬具の皮帯が交差する部分に取り付けます。
出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報
世界大百科事典(旧版)内の辻金具の言及
【建築金物】より
…扉の唄金具(饅頭金具,乳金具)や長押の六葉などの釘隠(くぎかくし)は,留釘の先や頭を隠すためのまったく装飾用のものである。扉の散金具(ちらしかなぐ)や長押,茅負(かやおい),破風板などの隅や中央に打った金具も装飾用ではあるが,そのうち板扉の隅金具,桟唐戸(さんからど)の辻金具,茅負の留金具,破風板の拝み金具などは元来は補強的な意味もあったのだろう。垂木や隅木などの木口金具は,木口の風食を防ぐため,板扉の八双金具は軸元の板の割れを防ぐため,また扉の軸穴に打つ藁座(わらざ)金具は開閉による磨滅を防ぐための補強を兼ねている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」