近頃(読み)チカゴロ

デジタル大辞泉 「近頃」の意味・読み・例文・類語

ちか‐ごろ【近頃】

[名]このごろ。最近。近来副詞的にも用いる。「近頃若い者は」「近頃手に入れた品」
[副]《「近ごろになく」の意から》はなはだ。非常に。
「―かたじけなし」〈咄・露がはなし・二〉
[形動ナリ]
大変結構だ。
「それは―にて候」〈謡・芭蕉
もってのほかだ。
「やい石見守、―なる雑言」〈浄・本朝用文章〉
最近[用法]
[類語]最近このごろ昨今当今今節当節この節この所近時近来近年

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「近頃」の意味・読み・例文・類語

ちか‐ごろ【近頃・近比】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 近いころ。このごろ。最近。明瞭な時期の区分意識なしに、現在からあまりへだたらない過去の時期を漠然とさして用いる。
    1. [初出の実例]「此眺めかなといふ詞の近比見え侍る、未甘心覚え侍る」(出典:六百番歌合(1193頃)春上・一一番)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 このごろになく。最近になく。善悪にかかわらず程度のはなはだしいさまを表わす語。はなはだ。非常に。たいへん。
    1. [初出の実例]「今の岩童祖父(をうぢ)下坂と云名字を除きて、日吉(ひえ)と号す。近比、山よりの下知といへ共、無念なること也」(出典:申楽談儀(1430)猿楽の諸座)
    2. 「近比めでたひ、さらばいそひで祖父ごへまいらふ」(出典:虎明本狂言・薬水(室町末‐近世初))
    3. 「しかし御ちそうになっては、ちかごろきのどくだ」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)初)
  3. [ 3 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. 大変結構だ、非常に立派だ、などの意を表わす。
      1. [初出の実例]「それは近頃にてござ候ふ。かうかうござ候へ」(出典:謡曲・葵上(1435頃))
    2. 反対に、はなはだしく悪いさま、もってのほかのこと、などの意を表わす。
      1. [初出の実例]「ヤイ石見守、近比なる雑言」(出典:浄瑠璃・本朝用文章(1698頃)一)

ちかき【近】 頃(ころ)

  1. このごろ。最近。ちかごろ。
    1. [初出の実例]「近来(チカキコロ)の事にや、或智者のおちぶれて」(出典:発心集(1216頃か)七)

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