下坂(読み)くだりざか

精選版 日本国語大辞典 「下坂」の意味・読み・例文・類語

くだり‐ざか【下坂】

〘名〙 (「くだりさか」とも)
① 下りになる坂道。坂の下り道。⇔上り坂
※宇治拾遺(1221頃)三「くだりざかを走るがごとく、のぼりてゆけば」
② (比喩的に) 物事最盛期、絶頂期を過ぎて衰えていくこと。衰運に向かうこと。また、特に天気で、晴天から曇天雨天に向かうことをいう。⇔上り坂
夫木(1310頃)三三「柴車落とすみ山の谷深みくだりさかなる身にこそ有りけれ〈藤原為家〉」
※朝の悲しみ(1969)〈清岡卓行〉一「体力は降り坂にあるのだから」

しもさか【下坂】

〘名〙
天正一五七三‐九二)頃、近江国滋賀県)滋賀郡下坂の刀匠を総称していう。のち越前福井へ移り、この地で桃山・江戸期に栄えた一門徳川幕府のおかかえになった下坂市之丞康継をはじめ、貞国、兼法など多くがいる。
② ①の鍛えた刀剣葵下坂(あおいしもさか)
浄瑠璃長町女腹切(1712頃)中「銘なしの下坂、寸(すん)も焼(やき)もかはらぬを八両で買ひかへ」

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デジタル大辞泉 「下坂」の意味・読み・例文・類語

しもさか【下坂】

室町末期、近江おうみ国下坂(滋賀県大津市)に住んでいた刀工の一派。また、その製作した刀。のち、越前に移住。→康継やすつぐ

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