迫上(読み)せりあげる

精選版 日本国語大辞典 「迫上」の意味・読み・例文・類語

せり‐あ・げる【迫上】

〘他ガ下一〙 せりあ・ぐ 〘他ガ下二〙
① 下から次第に押し上げる。また、徐々に先にでる。
和英語林集成再版)(1872)「ニモツヲ seriageru(セリアゲル)
※満韓ところどころ(1909)〈夏目漱石〉三「やがて余の船の頭が営口丸の尻より先へ出た。さうして、尻から胴の方へぢりぢりと競り上(セリア)げて行った」
劇場で、せりの装置を用いて、俳優大道具奈落から押し上げる。
歌舞伎男伊達初買曾我(1753)一「ト組留めの見えにて、きっとなる。人寄せにて、両人をせり上る」
感情がこみ上げる。
※和英語林集成(初版)(1867)「ムネヱ seriageru(セリアゲル)

せり‐あが・る【迫上】

〘自ラ五(四)〙
下方から上方へ押し上がる。また、周囲よりもち上がっている。
虞美人草(1907)〈夏目漱石〉七「青く烟る向ふが一面に競(セ)り上(ア)がって来る」
出発は遂に訪れず(1962)〈島尾敏雄〉「どんな連絡もなかったことが関心前面にせりあがってくる」
② 劇場で、奈落からせりの装置であがってくる。
※歌舞伎・天満宮菜種御供(1777)七「一面浪に成る。下手より二の手・三の手せり上がる」

せり‐あげ【迫上】

〘名〙
① 下から少しずつ押し上げること。
国民新聞‐明治三八年(1905)一月四日「案内を頼むと取次が下から競上げになって来る」
② 劇場で、舞台花道一部に、俳優や大道具を、奈落から押し上げること。また、その装置。せりだし。せり。
※歌舞伎・幼稚子敵討(1753)六「切穴へ落ると、せり上げにて、随戸平奴のなり、金比羅の樽を持出る」

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