通信符(読み)つうしんふ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「通信符」の意味・わかりやすい解説

通信符
つうしんふ

日本と朝鮮間の交通で行われた勘合符をいう。日鮮交通・貿易体制は,15世紀のなかばに完成するが,その統制策の一つとして,通信符の制度が案出された。その目的は,朝鮮に渡航する者がしばしば日本国王 (将軍) または巨酋 (管領や有力守護大名 ) の使者と詐称する場合があったので,これを防ぐためである。これに2種類があり,1つは日本国王に贈られた象牙製の通信符で,もう1つは,現在毛利家に伝来する大内氏に贈られた銅製の通信符である。これを半截して,右符が与えられ,左符が朝鮮に保管されて勘合のためにそなえられた。 (→日鮮貿易 )

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「通信符」の解説

通信符
つうしんふ

室町時代,朝鮮国王が大内氏と日本国王足利義政に贈った通交証。大内氏に対しては,1453年(享徳2)朝鮮国王端宗が銅印を与えた。縦5.4cm,横1.6cmで,印面は単廓,字面は篆字(てんじ)で「通信符」の文字を陽刻したものの右半分。重文。山口県毛利博物館蔵。足利義政に対しては,74年(文明6)朝鮮国王成宗が象牙符10枚を贈った。両面に「朝鮮通信」「成化十年甲午(中国の明の年号で1474年)」と篆刻(てんこく)してあったというが現存しない。

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