〈勘合〉の俗称。勘合の本来の意味は〈かんがえあわせること〉であり,中国では軍事,外国交通,銭糧の収支,官吏の公務出張などの証明の割符(わりふ)のことをいった。日本史上の用語としてふつうに用いられるのは,室町時代に足利将軍のところに明の皇帝から送られてきた船舶の渡航証明書のことである。〈勘合符〉の称は近世以降に使用されたもので,諸辞書が勘合の説明として〈勘合符の略〉としているのは誤りである。明の政府が日本に対して発給した勘合では〈日本〉の2字のうち〈本〉の字をとった勘合で,明の成祖永楽帝以後原則として皇帝の代がわりごとに100通ずつ足利将軍のところに送られてきた。縦1尺2寸,横2尺7寸ほどの料紙の2ヵ所に〈本字壱号〉〈本字弐号〉のような印を順次に半印したものであった。遣明船が勘合を所持して入明すると,まず寧波(ニンポー)の浙江市舶司,ついで北京の礼部で明側の底簿(台帳)と照合検査され,その後は礼部に没収された。
→勘合貿易
執筆者:田中 健夫
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…日本の遣明船によっておこなわれた日明間の貿易に対する俗称。一般には,勘合(勘合符)を用いておこなわれた貿易と解されているが,勘合は船舶の渡航証明書ではあるけれども貿易の許可証ではなく,勘合貿易という用語は日明間の貿易の実体を正しくいいあらわしたものとはいえない。むしろ,勘合を所持した勘合船の貿易とか,遣明船の貿易とか表現する方が適当であろう。…
…唐代には,さらに貴賤や身分をあきらかにする随身魚符や木契,旌節(せいせつ)などがつくられ,元代になって領土が拡大すると駅伝の発達をうながし,その利用者と利用目的によって金虎符(虎頭金牌),金符(牌),銀符(牌),円符(牌),海青符(牌)などがつくられ整備された。明が貿易統制のために用いた勘合符も符牌の一種で,符牌の制は清代まで行われた。【永田 英正】。…
※「勘合符」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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