改訂新版 世界大百科事典 「連合カナダ植民地」の意味・わかりやすい解説
連合カナダ植民地 (れんごうカナダしょくみんち)
United Province of Canada
1841年から67年まで北アメリカ大陸に存在したイギリス植民地。現在のオンタリオ州,ケベック州の南部を版図とした。1837年のアッパー,ロワー両カナダ植民地における反乱の一つの結果として,フランス系カナダ人のイギリス系への同化吸収を目的として,二つの植民地の統合がダラム報告により勧告され,実現した。イギリス領北アメリカ植民地の中で最大の人口と経済力を有し,1840年代,50年代と優れた政治指導者が輩出した。1848年にはR.ボールドウィン,L.H.ラ・フォンテーヌの尽力によりノバ・スコシアに次いで責任政府を獲得した。1850年代に鉄道建設時代を迎えた同植民地では,鉄道の東西への伸張を求める商工業者と,農地の西方への拡大を求める農民の利害関心が一致し,前者を代表する政治家J.A.マクドナルドやG.E.カルティエ,後者を代表するG.ブラウンらがコンフェデレーション(連邦)推進勢力を形成した。1867年カナダ自治領の成立にともない,同植民地はオンタリオとケベックの2州に分割された。
執筆者:大原 祐子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報