日本大百科全書(ニッポニカ) 「オンタリオ」の意味・わかりやすい解説
オンタリオ
おんたりお
Ontario
カナダ中南部の州。北はハドソン湾に面し、南は五大湖を隔ててアメリカ合衆国に接する。面積は90万7655.59平方キロメートルで、カナダ全土の10%を占める。人口1141万0046(2001)はカナダ全人口の約36%を占め、全10州中最大である。州都はトロント。ほかにカナダの首都オタワ、ハミルトン、ロンドン、ウィンザー、サドベリーなどの都市、ナイアガラ滝やサザーンド・アイランズ、シェークスピア祭で有名なストラトフォード、ケティコやアルゴンキンの鳥獣保護区、50万を数える湖、78万平方キロメートルの原生林などがある。内陸州のため大陸性気候で、1月平均気温は零下6~零下24℃、7月は12~20℃で、年降水量は南部で約900ミリメートル、五大湖北方で約740ミリメートルである。
州の北部は先カンブリア紀の岩石からなるカナダ楯状地(たてじょうち)で、針葉樹林中に無数の氷河湖が点在し、森林資源に富む。州南部は肥沃(ひよく)で、農業地帯の中心をなしている。カナダとしては温和な気候を利用して、オンタリオ湖岸では果樹栽培、大都市周辺では野菜栽培や酪農が行われ、カナダの商品作物の約30%を産出している。五大湖の水運に恵まれ、アメリカの大工業地帯に近接しているため、トロント、キッチナー、ハミルトン、ウィンザーを結ぶ一帯はもっとも工業化が進み、人口の都市集中が激しい。都市域人口は州全体の約80%である。主要な工業は自動車、輸送機械、鉄鋼、食品、製紙などである。また、サドベリーを中心に金、銅、ニッケル、亜鉛、コバルトなどを産出し、鉱物の産出量はカナダ第1位で、その生産高は国の40%を占めている。
フランスの探検家シャンプレインが1615年に訪れ、その後1763年イギリス領となったが、1774年にはケベック州の一部となった。アメリカ独立戦争後に王党派が移住し、南部境界線が確定、1791年アッパー(上部)・カナダとしてケベックと分離した。1837年に反乱が起きて、1841年ロワー(下部)・カナダ(ケベック)と再統合された。1867年のカナダ連邦成立の際は分離し、オンタリオ州となった。イギリス的色彩が強く、住民の約70%がイギリス系で、フランス系は10%にすぎない。
[山下脩二]