朝日日本歴史人物事典 「道因」の解説
道因
生年:寛治4(1090)
平安末期の歌人。俗名藤原敦頼,道因は法名。治部少丞藤原清孝と長門守藤原孝範の娘の子。従五位上右馬助に至る。承安2(1172)年藤原清輔の主催した和歌尚歯会に83歳で加わり,同年出家した。その歌人としての出発は遅く,70歳を過ぎてから作歌活動が目立ってくる。俊恵主催の歌人集団である歌林苑のメンバーで,藤原俊成などとも交友関係があった。勅撰集入集歌41首のうち『千載集』に20首入集するのが目立つ。選集に『現存集』(散逸)がある。和歌の数奇人であったが,その度合いが過ぎ,滑稽な振る舞いが説話集にみられる。
(渡辺晴美)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報