アサッシン
Assassin
イスマーイール派の一派ニザール派に対して,おもにヨーロッパ人が用いた異称。同派に対して他のイスラム教徒が使った,アラビア語による侮蔑の一般的表現ハシーシーン(〈大麻野郎〉の意)に由来すると考えられ,12~13世紀にシリアのニザール派と接触した十字軍将士を介してヨーロッパに伝えられた。この名はやがて同派の長老への狂信的献身や特異な暗殺戦術と相まって,マルコ・ポーロらの報告における,大麻と〈山の老人〉の楽園と暗殺者とを主題とする,いわゆる〈アサッシン伝説〉を生み出し,ヨーロッパの文学に大きな刺激を与えた。14世紀以降,この語はヨーロッパ諸語における〈暗殺者〉を意味する普通名詞として用いられるようになり,現在に至る。
執筆者:加藤 和秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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アサッシン
イスラム教シーア派に属するイスマーイール派の分派ニザール派へのヨーロッパ人による呼称。アラビア語のハシーシーン(大麻ハシーシュを用いる人の意)に由来する。1090年から約150年間,イランのアラムートに山中本拠地を構え,あらゆる敵を暗殺するという方針でセルジューク朝の宰相,将軍らを殺した。十字軍の将士もこの派の首長を〈山の長老〉と呼んで恐れたが,1256年モンゴル軍に滅ぼされた。英語のassassin(暗殺者)はこれに由来する。
→関連項目暗殺
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出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のアサッシンの言及
【暗殺】より
…広義には非合法の殺害一般をさすが,狭義には政治的な理由から行われる殺人を意味する。このような事例が古く政治権力の出現にまでさかのぼりうることは王殺害regicideが古今東西をとわず各文化圏に存在することからもわかる。古代ローマのカエサル暗殺のように独裁者・暴君を政治的・宗教的理由から殺害することの可否は,暴君放伐論(モナルコマキ)として,ヨーロッパ政治思想のひとつの論点でもあった。また宗教と政治が未分化な社会では宗教的理由から暗殺が行われたが,特に有名なのは,イスラム教イスマーイール派の[アサッシン]Assassinにより行われた暗殺でありヨーロッパで暗殺assassinationの語源となったほどである。…
【暗殺】より
…古代ローマのカエサル暗殺のように独裁者・暴君を政治的・宗教的理由から殺害することの可否は,暴君放伐論(モナルコマキ)として,ヨーロッパ政治思想のひとつの論点でもあった。また宗教と政治が未分化な社会では宗教的理由から暗殺が行われたが,特に有名なのは,イスラム教イスマーイール派の[アサッシン]Assassinにより行われた暗殺でありヨーロッパで暗殺assassinationの語源となったほどである。一般に政治的反対派や反体制運動の存在を認めない抑圧的体制のもとで,暗殺は,反対派が権力者を取り除き,あるいは逆に権力者が反対派を根絶する目的をもって行われる。…
【ハサン・サッバーフ】より
…イランのニザール派の初代ダーイー(宣伝者,布教者)で,いわゆる[アサッシン]教団の創始者。コムに生まれ,レイに学ぶ。…
※「アサッシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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