道心坊(読み)ドウシンボウ

デジタル大辞泉 「道心坊」の意味・読み・例文・類語

どうしん‐ぼう〔ダウシンバウ〕【道心坊】

成人してから仏門にはいった人。
「年ごろ五十近き―」〈洒・田舎談義〉
乞食こじき僧。乞食坊主
「物乞ひの―に出で立ちて」〈読・稲妻表紙・五〉
江戸時代以降、網元に所属する漁師が漁獲物の一部をくすねること。

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精選版 日本国語大辞典 「道心坊」の意味・読み・例文・類語

どうしん‐ぼうダウシンバウ【道心坊】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 成人してから仏門にはいった人。
    1. [初出の実例]「古の道心坊(タウシンバウ)がなくなみだおもひやらるるかるかやの露」(出典狂歌・貞徳狂歌百首(1636)秋)
  3. 食などを乞うて生活する僧。道心者。道心坊主。
    1. [初出の実例]「おらが内へ来る道心坊が死だ」(出典:咄本・茶の子餠(1774)頓死)
  4. 漁夫水揚げの魚をかくし、それを盗むこと。家父長的親方子方関係の支配していた漁業経営では、分配の割合が、漁夫に対してきわめて低かったから、漁夫の不満のはけ口として、また、親方が黙認する形で最近まで広く行なわれていた。静岡県、神奈川県、伊豆諸島、福島県などでいう。
    1. [初出の実例]「この外にも一つ、ドウシンボウというのがある。多分『心を同じくした泥棒』というので『同心棒』とでも書くのかもしれない。乗船している監督の眼を盗んで、船底とか漁具箱の蔭とかに獲ったものの一部を隠しておいて」(出典:ブラリひょうたん(1950)〈高田保〉海辺にて)

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