違法ドラッグ(読み)イホウドラッグ

知恵蔵 「違法ドラッグ」の解説

違法ドラッグ

麻薬または向精神薬に指定されていないが、それらと類似の有害性が疑われる物質で、人に乱用させることを目的として販売等がされるもの。麻薬等に指定された成分を含まない薬物や植物であっても、多くは薬事法に違反する無承認無許可医薬品であるが、それらは「合法ドラッグ」、「脱法ドラッグ」と称されてきた。しかし、この表現では法の規制が及ばないかのような誤解を生じることから、厚生労働省は2005年より「違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)」と呼称を改めるよう提言。違法ドラッグは、一部のドラッグマニアの間で流行し、インターネットなどでの販売が広く行われ、青少年を中心に乱用の拡大傾向にある。過量摂取や併用によると考えられる健康被害や死亡も発生している。かつて違法ドラッグとして有名であったマジックマッシュルーム(サイロンビンまたはサイロシンを含有するきのこ類)等は、現在は麻薬や麻薬原料植物に指定され、所持や販売などが禁じられている。06年6月には、違法ドラッグ対策を盛り込んだ薬事法の改正案が可決された。指定薬物について、医療上の用途など厚生労働省令で定める適正な目的で使用する場合以外の製造輸入等の行為を一切禁止するという厳しい内容となっている。これにより、個人輸入も禁止されることになる。

(澤田康文 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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