遠妙寺(読み)おんみようじ

日本歴史地名大系 「遠妙寺」の解説

遠妙寺
おんみようじ

[現在地名]石和町市部

市部いちべ集落の北東に位置する。近世は当寺門前で西に向かう甲州道中に、北上してきた鎌倉街道が合流するという交通の要地に立地していた。鵜飼山と号し、日蓮宗。本尊は十界曼荼羅で、文永六年(一二六九)日蓮の筆という(甲斐国志)。日蓮が文永六年大雨の一夜当地に宿したところ、鵜飼の翁の亡霊が立現れ教化を願った。翁は壇之浦だんのうら(現山口県下関市)で敗れ流浪の身となった平時忠で、殺生禁断とされた禅宗寺院観音寺領内の石和川で鵜による漁をしたとして、寺僧により水底に沈められ、以来亡霊となり人々を悩ませていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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