適合度(読み)てきごうど(英語表記)goodness-of-fit

日本大百科全書(ニッポニカ) 「適合度」の意味・わかりやすい解説

適合度
てきごうど
goodness-of-fit

統計的作業において、ある事象実際に観測して得られた統計分布が、なんらかの理論に基づいて得られる数値の分布に対し、どの程度の当てはまりのよさを示すかを表すもの。

 いま、一つのさいころを60回投げて、一から六までのそれぞれの目の出た回数を記録する。その結果は、12、8、10、7、14、9であったとすると、これが観測度数分布である。ところが、このさいころが完全に正確につくられていたとして、理論的に考えられる回数は、どの目についても等しく、10、10、10、10、10、10となるはずである。これが理論分布である。そして、この分布は確率分布としては一様分布にあたる。この場合、先の観測度数分布が、理論分布としての一様分布に対して、どれほどの当てはまりのよさを示すかということが、適合度である。そして、この当てはまりのよさ、すなわち適合度を検証するためには、カイ二乗検定test of χ2という手法が用いられる。

 さらに、適合度ということばは、ある変数についての実際の変動を、なんらかの理論的考察に基づく回帰方程式を用いて説明しようとする場合にも用いられる。この場合には、回帰方程式から計算される理論値の動きが、実際の観測値の動きにどれほどよく当てはまっているかが考えられることになる。その適合度を示す指標としては、決定係数が用いられる。

高島 忠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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