邯鄲諸国物語(読み)かんたんしょこくものがたり

改訂新版 世界大百科事典 「邯鄲諸国物語」の意味・わかりやすい解説

邯鄲諸国物語 (かんたんしょこくものがたり)

合巻(ごうかん)。20編。柳亭種彦(初~8編)・笠亭仙果(9~20編)作。歌川国貞・貞秀・2世国貞画。1834-56年(天保5-安政3)刊。〈種彦諸国物語〉の題を表紙に多く使用し,西鶴,其磧の諸国話物に倣った構想を示す。近江・出羽・大和・播磨(以上種彦作),伊勢・遠江摂津(以上仙果作)の諸国を順次背景とし,各国ごとに独立した伝奇小説の集成であるが,登場人物に有機的関連をもたせ,筋にも関係させる。種彦は西鶴・其磧の浮世草子,近松浄瑠璃を巧みに翻案し按排した手際を見せるが,その没後嗣編した仙果は種彦作品の模倣,其磧作品の踏襲,上方読本(よみほん)の翻案等に終始している。未完
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の邯鄲諸国物語の言及

【柳亭種彦】より

…また,文政(1818‐30)末年合巻界に大作古典の翻案による長編作流行の興起を見て,《源氏物語》に取材し,新趣向を凝らした大作《偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)》を発表し,大好評を得て合巻界の第一人者となった。ほぼ同時作の,元禄期の諸国ばなしものを活用した《邯鄲(かんたん)諸国物語》も好評で,晩年は主としてこの2著の制作に力を傾注する。かたわら集書の尚古趣味に考証癖が加わり,考証随筆《還魂紙料(かんごんしりよう)》《用捨箱(ようしやばこ)》その他を著したが,豊富な例書を引く実証的態度は群を抜いており,信憑度が高い。…

※「邯鄲諸国物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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