酢酸ウラニル(読み)サクサンウラニル(英語表記)uranyl acetate

デジタル大辞泉 「酢酸ウラニル」の意味・読み・例文・類語

さくさん‐ウラニル【酢酸ウラニル】

ウラン化合物の一つ電子顕微鏡観察における代表的な電子染色剤として知られる。国際規制物質(放射性物質)で、法律によって厳しい管理が義務付けられている。

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改訂新版 世界大百科事典 「酢酸ウラニル」の意味・わかりやすい解説

酢酸ウラニル (さくさんウラニル)
uranyl acetate

化学式UO2(CH3COO)2。通常知られているのは2水和物UO2(CH3COO)2・2H2Oであるが,ほかには無水和物および3水和物も知られている。いずれも黄色の結晶。2水和物は斜方晶系板状あるいは柱状晶,比重2.89(15℃)。蛍光を発し,結晶を摩砕すると摩擦ルミネセンスを示す。水に可溶,溶解度7.73g/100g(17℃)。エチルアルコールにも溶ける。エーテルには不溶。熱すると空気中では60℃までは安定であるが,それ以上では分解を始め,110℃で水を失い,無水和物となる。ただし熱しただけでは純粋な無水和物は得られない。275℃で酸化ウラン(Ⅵ)UO3となる。純粋な酢酸ウラニルは,2水和物を氷酢酸と無水酢酸の1:1混合液に溶かし,乾燥した窒素を流しながら還流加熱し,冷却すると結晶として得られる。無水和物は蛍光を発しない。α,β,γ,δ,εの5変態が知られている。ウラン6価の代表的な試薬の一つである。
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