化学辞典 第2版 「酸化リン」の解説
酸化リン
サンカリン
phosphorus oxide
【Ⅰ】三酸化二リン:P2O3(109.95).三酸化リンともいう.リンを酸素の供給を制限して酸化して得られる.融点23.8 ℃,沸点173 ℃.沸点近くの気体はP4O6分子となる.有機溶媒にもP4O6分子として溶ける.210 ℃ 以上ではP2O4とPとに不均化するが,空気中で加熱すれば70 ℃ で発火してP2O5になる.水に溶けるとホスホン酸H3PO3となるが,加熱すればホスフィンPH3とリン酸になる.塩化水素との反応では三塩化リンPCl3とホスホン酸を生じる.有毒.[CAS 1314-24-5]【Ⅱ】四酸化二リン:P2O4(125.95).四酸化リンともいう.三酸化リンの気体を加熱すると不均化反応により,リンとともに得られる.無色の結晶で180 ℃ で昇華する.水に溶けるとホスホン酸と正リン酸に分解し,次リン酸H4P2O6にならない.また,逆に次リン酸から無水次リン酸に相当する四酸化リンは得られていない.【Ⅲ】五酸化二リン:P2O5(141.95).五酸化リンともいう.[CAS 1314-56-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報