国指定史跡ガイド 「醍醐寺三宝院庭園」の解説
だいごじさんぽういんていえん【醍醐寺三宝院庭園】
京都府京都市伏見区醍醐東大路町にある庭園。醍醐寺の寺域は京都盆地の南東、笠取山上の上醍醐と山麓の下醍醐を包括する広大なもので、一帯は1967年(昭和42)に、醍醐寺境内として国の史跡に指定された。この指定に先立ち、1927年(昭和2)、下醍醐にある本坊(座主の住坊)・三宝院の表書院から東に一段高く連なる純浄観(じゅんじょうかん)の南前面に広がる池庭が、醍醐寺三宝院庭園として国の史跡・名勝に指定され、1952年(昭和27)には特別史跡および特別名勝指定を受けた。豊臣秀吉が自ら縄張りをして作庭した庭園で、池庭は東西に長く、岬と入り江の多い曲折した汀線は華麗な護岸石組みをもつ。池の南東隅には巨石を組んで3段に構えた滝口があり、北西隅が池尻となっている。3つの中島にかけられる橋には板橋、石橋、土橋がありそれぞれ趣を異にし、これらは軒端近くに据えられた加茂三石と称する名石や植栽とともに庭園の主要な要素を構成している。池の南岸ほぼ中央部に立つ藤戸石(ふじといし)は、室町時代から名石として知られ、細川氏、織田信長の手を経て、秀吉の聚楽第(じゅらくだい)に据えられ、庭が造られたときに運ばれたと伝えられる。1983年(昭和58)、護岸石組みにゆるみが生じたため、全庭にわたる改修整備工事が行われた。1994年(平成6)に「古都京都の文化財」の一部として世界遺産に登録された。JR東海道本線ほか山科駅から京阪バス「醍醐三宝院」下車、徒歩すぐ。