野手村(読み)のでむら

日本歴史地名大系 「野手村」の解説

野手村
のでむら

[現在地名]野栄町野手

現野栄町の北東部に位置し、南東は九十九里浜に面する。北東は長谷ながや(現八日市場市)、南西は今泉いまいずみ村。集落の北を軽桶かろおけ川が流れる。中世は匝瑳南条そうさなんじよう庄に属したとみられ、在地領主としては千葉氏族の椎名氏が知られる。神代本千葉系図は千葉介常繁(常重)の庶子である椎名胤光の子息に野手五郎胤茂を載せ、五郎胤義・彦三郎義成と継いで、その支流には長江(長谷)・吉崎両氏がいる。「本土寺過去帳」に「野手合戦」とみえ、明応三年(一四九四)五月のこの合戦で討死した谷田部刑部ほか二名の成仏を祈っている。天正元年(一五七三)から同九年の間の七月二八日の跡部昌忠書状写(武州文書)によれば、武田勝頼から命令を受けた跡部修理亮昌忠は安房の里見家に向かい、東は当地、南は「布河」まで至ったが、その先に進む手段に行詰り、里見氏家臣の岡本但州に対しなんとか「外浦」(九十九里浜)を渡海できるよう計らってほしいと依頼している。御城みじようには野手館跡があり、空堀をとどめる単郭方形の遺構が残る。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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