国指定史跡ガイド 「金剛寺境内」の解説
こんごうじけいだい【金剛寺境内】
大阪府河内長野市天野町にある寺院。河内長野市の市街から天野街道に沿って約4km西南に立地。金剛寺は奈良時代に創建された真言宗の寺院で、密教山岳伽藍(がらん)を配し、隆盛期には伽藍三十余宇と坊舎七十余宇を有したといわれる。建武中興に多大に寄与し、南北朝時代の重要な遺構であったことなどから、1934(昭和9)に国の史跡に指定された。金剛寺は天平年間(729~749年)、行基が聖武天皇の勅命によって創建し、のちに弘法大師(空海)の密教宣布の霊地となる。平安末期、高野山の阿観上人が後白河法皇と皇妹八条院の帰依を受けて勅願寺となり、当時から女人の参詣を許し、女人高野と呼ばれ、後村上天皇が摩尼院を行宮(あんぐう)と定め、6年間軍政両面の政所とした。その後も、長慶天皇、後亀山天皇の3代二十余年にわたり行在所となり、つねに南朝方の重要な拠点の一つであった。境内には金堂を中心に多宝塔、食堂、御影堂、楼門、経蔵などの建物があり、国宝や重要文化財も多数保存されている。南海電鉄高野線ほか河内長野駅から南海バス「天野山」下車、徒歩すぐ。