日本大百科全書(ニッポニカ) 「金天海」の意味・わかりやすい解説
金天海
きんてんかい / キムチョンヘ
(1898―?)
北朝鮮の政治家、在日朝鮮人の共産主義指導者。慶尚南道(けいしょうなんどう/キョンサンナムド)蔚山(うるさん/ウルサン)出身、本名金鶴儀(きんかくぎ)。1920年(大正9)渡日し、1922年東京朝鮮労働同盟会実行委員、1925年朝鮮人マルクス主義団体「一月会」メンバーとして在日本朝鮮労働総同盟を組織。1928年(昭和3)第四次朝鮮共産党日本総局の責任秘書となったが、検挙され懲役6年。出所後、日本共産党に入党して再検挙された。1945年10月、徳田球一らと府中刑務所から釈放され、在日本朝鮮人連盟創立に参加して最高顧問に推された。また再建日本共産党の中央委員、政治局員、朝鮮人部長に就任し、全国を遊説して朝鮮人を大量入党させた。1949年9月、在日本朝鮮人連盟解散、公職追放処分を受けて、北朝鮮に逃れた。1956年以後、朝鮮労働党、最高人民会議、祖国統一民主主義戦線、祖国平和統一委員会等の役職についたが、1970年代以降消息不明。
[玉城 素]