化学辞典 第2版 「金属水素化物」の解説
金属水素化物
キンゾクスイソカブツ
metal hydride
金属元素と水素の二元化合物の総称.【Ⅰ】塩型水素化物:アルカリ金属,アルカリ土類金属元素は,MⅠH,MⅡ H2型の無色のイオン結晶をつくる.水素化ナトリウムNaH,水素化カルシウムCaH2,水素化リチウムLiHが代表的なものである.これらは還元力があり,水素発生剤,還元剤,有機合成の縮合剤などに用いられる.【Ⅱ】侵入型水素化物:金属の結晶格子に水素が入った侵入型化合物の一種である.遷移金属水素化物の多くはこの型になる.原子数比が化学量論値からずれた不定比化合物となることも多い(TiH1.7,LaH2.5など).一般に,外観は金属状で,導電性をもつため金属類似水素化物ともいう.室温・常圧で安定なものが多い.水素吸蔵合金,水素化反応の触媒などに用いられる.PdHは,H2 の精製に用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報