朝日日本歴史人物事典 「金春安照」の解説
金春安照
生年:天文18(1549)
安土桃山・江戸初期の能楽師。通称八郎,法名は誰庵禅曲。父は5代金春大夫喜勝。天正13(1585)年ごろ,豊臣秀吉の弟である羽柴秀長を通して豊臣氏と関係を持つようになり,能に耽溺した秀吉の能指南役を務める。「セイヒクシ,悪キ男也」(『四座役者目録』)という肉体的悪条件を安定した地道な演技でカバーして大いに活躍する。安照は秀吉自身が能のシテとなる場合にはツレ役を務めることが多く,また,いわゆる「太閤能」十番の節付を命ぜられるなど,秀吉の絶大な庇護の下で金春座繁栄の基盤を作りあげた。<参考文献>『金春安照伝書集』(『能楽資料集成』9巻)
(石井倫子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報