金沢市(読み)カナザワシ

デジタル大辞泉 「金沢市」の意味・読み・例文・類語

かなざわ‐し〔かなざは‐〕【金沢市】

金沢

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「金沢市」の解説

金沢市
かなざわし

面積:四六七・七七平方キロ

県のやや南寄りに位置し、東は白山山糸・礪波となみ丘陵で富山県小矢部おやべ市・福光ふくみつ町・上平かみたいら村に接し、西は日本海に面する。北は内灘うちなだ町・津幡つばた町、南は松任まつとう市・野々市ののいち町・鶴来つるぎ町・河内かわち村・吉野谷よしのだに村。南東部の山地に発する浅野川・犀川がいずれも北西流して金沢平野を貫流。浅野川は河北かほく潟に流入したのち、大野おおの川となって海に生き、犀川は宮腰みやこしで直接海に入る。大野川・犀川は江戸時代以前は河口近くで一流てなっていたと伝え、河口には中世、大野湊・宮腰津が発達した。現在の金沢港・金石かないわ港の前身である。陸上交通路は古代の北陸道につながる国道八号のほか同一五七号・一五九号・三〇四号・三五九号や北陸自動車道が縦横に走り、鉄道はJR北陸本線、北陸鉄道浅野川線・石川線がある。地名金沢は「天文日記」天文一五年(一五四六)一〇月二九日条に「金沢坊舎」(金沢御堂)とみえるのが早い例で、金沢御堂廃絶後、城名や城下町の総名に引継がれた。訓はカナザワ、カネザワの両様が用いられていたと思われるが、慶応二年(一八六六)五月、前田斉泰が金沢中納言を称した時「かなざは」と訓ずることを令しており、幕末―明治初年以降カナザワに統一されていった。

〔原始〕

広大な金沢平野と丘陵・台地に恵まれた市域には、縄文時代以降の数多くの遺跡が残されている。縄文遺跡は犀川や浅野川中流域の丘陵地などに点在し、早期土器は若松ほかまつ町地内や天池あまいけ遺跡で採集されている。前期遺跡としては小野遺跡があるが、集落密度が高くなるのは中期段階であり、中戸なかど瀬領せりよう娚杉めおとすぎ東市瀬ひがしいちのせ笠舞かさまい加賀朝日かがあさひなどの遺跡が知られている。とくに東市瀬遺跡では五〇基にも達する石囲炉が検出され、笠舞A遺跡では竪穴住居群跡や多彩な土器・石器が出土した。一方平野部でも多数の縄文集落が発見されているが、なかでも古府こふ遺跡・北塚きたづか遺跡(中期)中屋なかや遺跡(晩期)は標式遺跡として重要であり、国指定史跡新保本町しんぽほんまちチカモリ遺跡(後・晩期)は、環状木柱列を初めて確認した遺跡として話題となった。稲作農耕を伴う弥生時代になると、手取川扇状地の東端部を占める沖積地で、中・後期の集落が増加し、寺中じちゆう遺跡・畝田うねだ遺跡・下安原海岸しもやすはらかいがん遺跡などが出現、やや内陸に寄った地域でも矢木やぎジワリ遺跡や磯部運動公園いそべうんどうこうえん遺跡が知られる。とくに、西念さいねん南新保みなみしんぽ遺跡からは木製高坏や琴など精巧な木器多数が出土している。月影つきかげ遺跡を標式とする弥生時代終末期頃には集落数もさらに増加するが、玉作集落として知られる塚崎つかさぎ遺跡やこれと至近距離に所在した吉原七よしわらななつか遺跡(方形周溝墓群)が代表的なものである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金沢市」の意味・わかりやすい解説

金沢〔市〕
かなざわ

石川県中央部南にある中核市で,東は富山県に接する。県庁所在地。 1889年市制。 1954年~62年の間,犀川 (さいかわ) ,内川,湯涌谷 (ゆわくだに) ,安原,額 (ぬか) ,押野,浅川の各村と森本町を編入して現市域となる。市名の由来は中世以来の地名による。北西は日本海に面し,東部から南部は両白山地北部とそれに続く丘陵地。市内を犀川,浅野川が北西流し,中央部に河岸段丘 (小立野〈こだつの〉台地) が形成され,その台地上に中心市街地がある。江戸時代,前田家百万石加賀藩の城下町として発展。城跡は,明治以後は軍隊駐屯地で,石川門,三十間長屋 (重要文化財) が現在も残っている。前田家の奨励を受け,加賀友禅,漆器,九谷焼,金箔など美術工芸が発達した。北陸3県の中心として発展しており,伝統工芸のほか紡績,織物,織機,金属などの諸工業が盛ん。大野川河口に金沢港も建設された。市街には長土塀や武家屋敷など城下町の景観が積極的に保存されている。尾山神社,忍者屋敷などがある。平野部では米のほか,スイカ,ダイコンサツマイモなどが栽培され,沿岸部には大野,金石 (かないわ) の古い港町がある。山科の大桑 (おんま) 層化石産地と甌穴,松月寺のサクラ,堂形のシイノキは天然記念物,日本三名園の一つ兼六園は特別名勝成巽閣 (せいそんかく) 庭園は名勝,チカモリ遺跡は史跡。東部の山地には湯涌温泉,医王山 (いおうぜん) ,犀川ダムなどの景勝地もある。 JR北陸本線が通り,北陸自動車道の金沢東・金沢西インターチェンジがある。 JR七尾線,能登道路の起点。面積 468.79km2。人口 46万3254(2020)。

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