日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
鉄骨鉄筋コンクリート構造
てっこつてっきんこんくりーとこうぞう
steel and reinforced-concrete construction
鉄骨構造は不燃構造であるが、部材が火炎の高熱を受けると、その強度が局部的に低下して骨組が崩壊したり大変形を生ずる。この鉄骨構造の弱点を補うため、鉄骨の周りに鉄筋(丸鋼または異形棒鋼)を配し、コンクリートを打ち込んで耐火性能を向上させた構造を鉄骨鉄筋コンクリート構造という。また、通常の鉄筋コンクリート構造物は、その自重の大きさに比して強度が低く、大きな変形に耐ええない(もろい)性質があるが、鉄骨鉄筋コンクリート構造では、鉄筋コンクリート部材断面に鉄骨を導入することにより、その欠点を改善することができる。力学的には鉄骨と鉄筋コンクリートとが協力して構造体として働くので、両者の利点をあわせ保有する構造であるといえる。
鉄骨と鉄筋の量的比率に標準的なものはなく、鉄筋コンクリートを鉄骨の座屈止め程度に使ったものから、鉄骨断面が小さく、ほとんど鉄筋コンクリート構造に近いものまで幅が広い。部材断面の設計に際しては、鉄骨断面のみの強度と鉄筋コンクリート断面部分の強度とを加えあわせた「累加強さ式」が用いられる。鉄骨鉄筋コンクリート構造は、その強度、剛性および粘り強さの高いことから、日本では一般に地上五階建て以上、15階程度までの中高層建築物の主体構造として多用されている。略してSRC構造ともいう。
[金多 潔]