スズよりも融点が低く(スズの融点は232℃で,金属の中では水銀に次いで低い),室温では固体である合金。可融合金と呼ばれることもある。これらは,ビスマスBi,鉛Pb,スズSn,カドミウムCdなどの多元合金であって,ビスマスを主成分としたものが多い。Pb-Bi-Cd,Pb-Bi-Sn,Sn-Bi-Cdの各三元共晶点はそれぞれ91.5℃,95℃,103℃であり,これら4元素の四元共晶点は70℃である。さらにインジウムInや水銀Hgを加えると,より融点の低いものもできる。易融合金は,火災報知器の温度検出部,電気回路のヒューズスプリンクラーの放水口のおさえ,薄肉パイプの曲げ加工に使用するフィラーメタル(充てん材),精密鋳造の模型などに使用される。ウッド合金はBi-Cd-Pb-Sn四元合金の代表的なものである。
執筆者:大久保 忠恒
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融点の低い合金の総称で、低融点合金あるいは可融合金などともいう。融点の上限をどこに置くかはあまり明瞭(めいりょう)でなく、鉛(融点327℃)あるいはスズ(融点232℃)とすることもある。その場合には普通のはんだや活字合金も含まれる。一般にはビスマス、スズ、鉛、カドミウムなどを主体とした融点約200℃以下の多成分合金を易融合金という。融点が100℃以下のものにはローゼ合金(融点100℃)、ニュートン合金(融点95℃)、ウッド合金(融点65℃)、リポビッツ合金(融点72℃、46.5℃)などがある。火災用スプリンクラーや高温高圧容器などの安全弁、ヒューズに用いられる。そのほか、薄肉管の曲げ加工用充填(じゅうてん)材など多方面で使用されている。
[及川 洪・原善四郎]
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