改訂新版 世界大百科事典 「銀仏」の意味・わかりやすい解説
銀仏 (ぎんぶつ)
銀製の鋳造仏。インドでも仏像造顕の初期にすでに製作されたと思われるが,遺品は知られず,《大唐西域記》によれば645年に唐僧玄奘がインドから請来したことが見える。日本では奈良時代以後の造像を記す文献があり,平安時代以後も天皇,貴族の発願によりしばしば製作された。その展開は,ほぼ金銅仏に準じると思われるが,材料が高価なため,造像の機会は少なく,像も小型である。遺品は少なく,奈良時代8世紀のものとして東大寺法華堂不空羂索観音像の宝冠に付けられた蠟型鋳造,銀製めっきによる像高23.6cmの化仏阿弥陀如来立像,および興福寺東金堂から発見されたほぼ等身大の像の右腕の残欠部が知られる。その他には鎌倉時代の製作と推定される像高7.6cmの阿弥陀如来立像が滋賀県浄厳院にある。
執筆者:副島 弘道
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