改訂新版 世界大百科事典 「錆止め油」の意味・わかりやすい解説
錆(銹)止め油 (さびどめゆ)
rust preventive oil
金属とくに鉄などのさび止めのために用いられる油。防錆(ぼうせい)油ともいう。金属表面に油の保護膜をつくり,空気中の酸素や水分を遮断することによって,金属製品の保管,輸送,保守など特定期間中のさびの発生を防ぐ。JISには次の5種類のさび止め油が含まれる。(1)指紋除去型さび止め油 機械類についた指紋や汗の除去に使う。(2)溶剤希釈型さび止め油 さび止め被膜をつくる成分を石油系溶剤に溶解,分散させてある。金属面に塗布すると溶剤が蒸発し,あとにさび止め被膜ができる。(3)さび止めペトロラタム パラフィンワックス状の製品で,加温し流動状態にした中へ金属製品を浸漬する。(4)一般さび止め油 石油系潤滑油を基材とした製品で,さび止め性能が大きい。(5)気化性さび止め油 油状であるが気化性の成分を含み,密閉空間にある金属製品に蒸着してさび止め効果を発揮する。
執筆者:冨永 博夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報