改訂新版 世界大百科事典 「錆止め塗料」の意味・わかりやすい解説
錆(銹)止め塗料 (さびどめとりょう)
anti-corrosive coating
rust inhibiting paint
さびの進行を抑制する塗料。防錆(ぼうせい)塗料,防銹(ぼうしゆう)塗料ともいう。JISではさび止めペイントと定められている。鉄鋼がさびるには酸素と水が必要であり,空気中の炭酸ガス,硫酸,硝酸等の酸性ガスは腐食を促進する要素である。さび止め塗料の作用機構には次の2種類がある。一つは上記環境要素の鉄面への接触を塗膜によって遮断することであり,これは塗膜の水およびガス透過性阻止性能によるもので,主として塗膜の厚さと樹脂の性質によって支配される。他の一つは塗膜(主としてさび止め顔料の水可溶成分)によって,鉄面の腐食電位を鉄のイオン化を抑える方向に移動させることである。一般にいうさび止めペイントは,さびの発生を抑える作用をする顔料を中心に設計されているもので,表に示すようなものがあり,これを一般にプライマーprimer(塗装系のなかで生地に最初に用いる塗料)といっている。
執筆者:大藪 権昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報