長い物には巻かれろ(読み)ながいものにはまかれろ

ことわざを知る辞典 「長い物には巻かれろ」の解説

長い物には巻かれろ

自分より力の強いものや上位の者には、とりあえず従っておくのが無難で得策であるというたとえ。

[使用例] 西洋人は強いから無理でも馬鹿げていても真似なければやり切れないのだろう。長いものにはかれろ、強いものには折れろ、重いものにはされろと、そうれろ尽しでは気が利かんではないか。気が利かんでも仕方がないと云うなら勘弁するから、あまり日本人をえらい者と思ってはいけない[夏目漱石吾輩は猫である|1905~06]

[使用例] いったい、どうして、叱ったのだ、と言うのである。〈略〉叱らねばならないことがあったから叱っただけです、じゃ、君、と主任はいやらしい笑い方をして、君、ちょっと、出掛けて行って釈明してくれ給え。長い物にはまかれろというから、仕方がないさ、ヘッヘ、という[坂口安吾*風と光と二十の私と|1947]

[解説] ことわざは、ある時代の価値観にもとづいて、人々の思考や行動の規範役割をはたすことがあります。この表現は、そうしたものの典型的な例といえるでしょう。「長いもの」というのは、漠然としていますが、権力社会的な強者をさして使われています。この場合は、むしろそれ以上明確にしないことによって、ことわざの威力を増しているようです。「巻かれろ」は、自分の判断を放棄して、なされるがままになれということです。前時代的な大勢順応主義ですが、このことわざが今日なお根強い影響力を保っていることも否定できないでしょう。
 とはいえ、こうした規範は、社会が変動すれば、おのずから見直されます。また、ことわざは、かならずしも肯定的に使う必要はなく、漱石のように否定的な文脈で引いても差し支えありません。

[対義] 一寸の虫にも五分の魂

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